過去の成果から決別するためにできる、2つのこと

やるべきことはシンプル。まず1つは「聞かれるまで我慢する」ことです。自分が精魂を込めて取り組んできた仕事。引き継いだ相手が上手く回せていないことが一目瞭然だとしても、まずは我慢しなければならない。数字を細かく見る、かつての同僚から様子を伺う、自分だったらこうするなど、いろいろと「やってしまいそう」になるでしょう。しかし、そこは耐える。引き継いだ後任から聞かれたら、喜んで答えてあげてください。でも、聞かれるまで、自分からは言わないこと。

もう1つは「自分が新たに引き継いだ仕事について、その前任者に聞く」ことでしょうか。これは見落としがちですが、ポジションが上がった自分自身も、新しいチャレンジをしているはず。新しいポジションで分からないことも多いでしょう。だからこそ、前任者に根掘り葉掘り聞くのです。相手も聞かれるまで我慢しているかもしれませんよ(笑)。さらには、自分が聞くことで、引き継がれた部下の気持ちを十分に理解できるはず。そうやって、自らも一歩前に進んでいくことが大事なのです。

「この歳になっても、まだまだ新しいことにチャレンジしなければならないのか」と、うんざりした人もいるかもしれません。でも、新しいことにチャレンジできる環境を、会社があなたに与えているとしたら、それは期待の裏返しです。むしろ「今のままでいて」と言われることの方が、実は怖いのですから。

サカタカツミ/クリエイティブディレクター
就職や転職、若手社会人のキャリア開発などの各種サービスやウェブサイトのプロデュース、ディレクションを、数多く&幅広く手がけている。直近は、企業の人事が持つ様々なデータと個人のスキルデータを掛け合わせることにより、その組織が持つ特性や、求める人物像を可視化、最適な配置や育成が可能になるサービスを作っている。リクルートワークス研究所『「2025年の働く」予測』プロジェクトメンバー。著書に『就職のオキテ』『会社のオキテ』(以上、翔泳社)。「人が辞めない」という視点における寄稿記事や登壇も多数。