本当に大切なことは何ですか?

それでは、ここから交渉の具体的なスキルに入りましょう。

第一のフェーズは、自分が何を望んでいるかを見つけること。一人で机に向かい、さまざまな雑音を頭から締め出します。そしてパートナーが何を言おうと、同僚や上司が何を言おうと、旧世代の人たちが女性はこうあるべきだと考えていようと、自分が大切にしたいことは何なのか突き詰めていくのです。譲れないことは何か、柔軟に対応できるところはどこかを見つけておくと交渉がスムーズに進みます。

この自分との対話が一番の要で難しいところです。どうしても外部のいろんな声が気になって控えめになってしまいがちだからです。そんなとき私は、同じく野心的な友人に電話をして、野心的になれるように心がけています。

第二のフェーズは事前に種まきをすることです。アジア圏では「根回し」と言えば、馴染みがあるものでしょう。ミーティングのときまで黙って待っているだけでは、求めていることは実現できません。例えばワーキンググループのリーダーとして、去年のプロジェクトがうまくいったので今年も実現させましょうと、早い段階から意識付けをすることは、今年の取り組みに対してYESをもらうために重要です。

家庭でも同じです。私と夫の場合、私は中心部に住みたい、夫は郊外に住みたいという意見の不一致がありました。時間をかけて「私にとって中心部に住むことがどれだけ重要なのか」を夫に伝え、9年後の今、コペンハーゲンの中心部にフラットを買いました。家でも仕事でも難しい交渉ほど時間をかけます。時間をかけて、あらゆる角度から、優しく押していくんです。