政府放出株の歴史を紐解いてみる

上場して得た資金の使い道が気になりますが、政府は最終的な売却益のうち4兆円を東日本大震災の復興財源に充てることを決めています。つまり、郵政グループ3社の上場は国策なんですね。だから失敗できないという面もあります。ということは、株価を下げないような政府の後方支援が期待できそうです。

国策といえば……、政府放出株の歴史はというと、NTT、JR東日本、日本たばこ産業、JR西日本、JR東海、NTTドコモに続き、郵政グループ3社は「最後にして最大」といわれています。政府保有株の残りは、JR九州と東京メトロでしょうか……。

郵便局が今後、成長していくかどうかは、そこに勤める人にかかってくるでしょう。これからは上場会社として競争の世界にさらされていくので、局員さんからの勧誘も強くなるかもしれませんね。でも、何となくあまりにも巨大な会社であることから動きが鈍く、めぼしい新規事業もないので伸びしろが少ないような……。

ただ、過去の政府放出株の会社で、たとえば日本たばこ産業は、現在は「JT」の名で知られ、たばこだけではなく医療用薬品や加工食品など多角化に成功しています。(残念ながら「桃の天然水」などの飲料部門は撤退)。海外たばこ会社のM&Aも進めています。きっと優秀な人材がいるのでしょう。株価も現在は、上場時の5倍の価値があるとか。

JR東日本も列車を走らせるだけではなく、エキナカ開発や不動産事業、広告事業などを伸ばしています。新駅にできるエキナカの店舗は活況で、広告もデジタルサイネージになって駅全体が華やかです。センスのなかった駅ビルも、ルミネになって百貨店随一の売り上げの伸び率があるそう。株価も現在は、上場時の2.8倍になっています。

郵便局だって上場することで株主の目があれば、きっと変わっていきます。株を買う、買わないは、長い目でみて、郵便局を一民間企業としてみることが重要です。