指示や依頼をしても部下が動いてくれないのは、あなたと相手とが本当の問題を共有できていないから。“人を動かすためのツール”としておすすめしたいのが「質問」です。質問にはさまざまな力や使い方がありますが、ここではロジカルシンキングとラテラルシンキングという2つの視点から問題状況についての理解を整理し、互いの認識をすり合わせるように問いかけていくという方法をご紹介します。まずはロジカルシンキングについて、事例を交えながら見ていきましょう。

問題共有のために、論理的に「問う」

人を動かすためには、直面している「本当の問題」を相手と共有することが重要です。私たちがチームで何かに挑戦するとき、メンバーの間で問題の認識が異なっていたら一緒に取り組むことはできません。また、問題に取り組んでもらうときには、その問題の優先順位や重要性が共有されていなければなりません。

同じような指示を何回も出さなければいけない部下に、腹を立てたことはありませんか? 部下だけが悪いのではありません。そこには理由があったのです。

 本当の問題を共有するとは、つまりその問題の背景や前提条件のような周辺の情報も含めて全体像を共有するということです。なぜそれが必要なのか、何を目的にしているのか、どうして今それをやっているのかといったさまざまな要素を含めて共有しなければ、活動の中で齟齬(そご)が出てきてしまいます。

共有のために有効なのが、物事の因果関係や解決策を質問することです。具体的には、相手や自分が“なぜ”そう考えているのかについて、また“どうやったら”問題が解決されるかについて質問することで、相互の認識にどのような差があるのかを明らかにすることができるのです。