その意識が変わったのは、最初に配属された部署がシステム企画部門だったことが大きいです。あの頃は会社でも1人に1台のパソコンが割り当てられ、ワードやエクセルを使い始めた頃です。社内にはまだ「ダブルクリックってどうやるの」という課長クラスの人たちが大勢いたので、私たちのような若い社員がパソコンの研修をしたり、社内でアナログ作業をしていたものをシステム化したりする仕事をすることになったんです。

普通、新卒で1年目の一般事務職となると、仕事もそれなりのものしか任せてもらえないものですよね。確かに就職氷河期ではありましたが、ちょうど社内がIT化される端境期だったので、そんなふうに会社の効率化にかかわる仕事に携わることができたことは幸運でした。

当時は地方支店に出張してシステム導入の説明会をすることも多く、そのうちに仕事が面白くなってきました。すると、いつのまにか会社を辞めるという選択肢は自分の中で消えていました。それで4年目に総合職に転換する試験を受けたんです。それまでは出張時でも制服を着て新幹線や飛行機に乗らなければならなかったので、総合職になったときはずいぶんとスッキリとした気持ちになったものです。

総合職になってからは販売の現場なども経験しましたが、結婚して出産をした後に希望して経営企画の部署に移りました。自分のキャリアを長い目でみるようになったのは、その頃からですね。