戦後70年、「預金は正義」の時代が終わる!

このように20世紀高度経済成長の歴史以来、日本には「預金は正義」の文化が根付いたのですが、同時にもうひとつの常識が定着しました。それは、銀行は偉いという「銀行神話」です。

銀行は戦後日本経済の復興を資金面で専ら支える存在として、日本の産業界の頂点に君臨、圧倒的に正しい存在として私たちの意識の中にも定着したまま今に至り、「銀行神話」に裏打ちされた「預金は正義」の常識は、現在の日本社会にも根強く息づいているのです。

こうした過去に鑑みれば、高度成長時代に育ってきた両親から、「預金をしておけば良いことがあるのよ」と皆さんが育てられてきた所以も納得できることでしょう。

さて問題は、戦後70年を経て高度成長期を終え、成熟経済国になって久しい今の日本経済の構造下において「預金は正義」の価値観がいよいよ瓦解し始める時が到来した、という事と共に、「銀行神話」の常識も冷静に疑ってかかるところから、「自分の未来をデザインする」プラン作りを読者の皆さんに考えていただきたいのです。

次回は「脱預金バカのすすめ」の“なぜ?”を「銀行神話」なるものを紐解きながら、解説していくことといたしましょう。

中野晴啓(なかの・はるひろ)
セゾン投信株式会社 代表取締役社長
1987年明治大学商学部卒業後、現在の株式会社クレディセゾン入社。セゾングループで投資顧問事業を立ち上げ、海外契約資産などの運用アドバイスを手がける。その後、株式会社クレディセゾン インベストメント事業部長を経て2006年に株式会社セゾン投信を設立、2007年4月より現職。米バンガード・グループとの提携を実現し、現在2本の長期投資型ファンドを設定、販売会社を介さず資産形成世代を中心に直接販売を行っている。セゾン文化財団理事。NPO法人元気な日本をつくる会理事。著書に『投資信託はこうして買いなさい』(ダイヤモンド社)、『預金バカ』(講談社)など。