先日、ロングインタビューを主体とするテレビ番組を見ていると、思わず、「その通り!」と声が出そうなった瞬間があった。インタビュアーが企業の代表であるゲストに「商売人の基本、一番核になること、大切なことは何ですか?」という質問をした。ゲストは一瞬、カメラの方を向き「え? それは……撮影ってことじゃなくて、個人的に? どういうこと?」と。
インタビュアーが再び「私自身が一番お聞きしたいことです!」と問いかけると、ゲストは笑顔で、しかし真剣にこう答えた。
「ちゃんと答えようとしたら1、2時間かかりますよ。“経営理念です”と簡潔に答えたところで、“そんなこと分かっています”で終わっちゃうでしょ。
ビジネスは、日々の仕事や計画の中で困難に陥った時、どう立ち向かっていけばいいのか、変えちゃいない原理原則と細かい方法論の組み合わせの繰り返しですから。(この番組で、あなたがインタビュアーだからこそ)正直に答えたいので、ひと言で語れるものではありません」と。
お茶を濁すように、無難に質問をクリアしようとせず、正直に、真剣に答えたゲストの言葉は新鮮に私の心に届いた。そうなのだ……簡単に答えを聞いてはいけないのだ。
書店で平積みになっている自己啓発書、ロングセラーとなっているビジネス書、タイトルを見ていくと、「現代のストレス」が助けを叫んでいるように感じる。悩んでいる人、読者は藁にもすがる思いでそういった本に答えを求めていく。
だが、ダイエット本と同じく、明確な1冊はないのが事実。つまりある人にとっては上手くいくやり方、考え方であって、万人に共通する完璧な1冊は存在しない。忙しい読者はすぐに解決策、答えを求め過ぎなのではないだろうか?