自分を制するものが「勝利」を掴む
今回、紹介させていただく『もう悩まない! 働く女性の感情整理術』は、解決策というよりは、感情コントロールの手引き書であり、それもレンガをひとつずつ重ねて壁をつくっていくように、著者が読者に対して疑問を投げかけ、考えてもらい(ここが大切!)、最善策はこうなのでは? と展開する構成になっている。
いきなり答えではなく、まして答えは読者自身が納得して得るものだという志向性を、章が進むごと強く感じる書である。
男性は「結果主義で勝負プライド型」、女性は「プロセス思考で共感協調型」という認識を持ち、「女性が思う以上に、男性は女性の気持ちを分かっていない」と理解することから感情の整理を始めていくと、会社、ビジネス、もっと言えば日常もよく変わっていくのではないか、と投げかけている。
それを考え方のベースに置き、次のように説く。
(1)感情整理の基本は、書くこと。悩みも不安も落ち込みも書き出し、不安の誇大妄想を取り除くこと。
(2)「できない」「知らない」を自分の中で禁句にすること。「できない」ならば「できる」ように努力するか、「できる人」にお願いする。「知らない」ことも同様、調べたり、人に聞いたりすること。
以上を実行していくと、例え真っ暗なトンネルの中を歩いていても、出口(光)が見えてくる、そう本書を読んで感じた。
――働く女性にとっては、まだまだ働きづらい環境であり、理不尽に感じる状況が多いかもしれません。(中略)「自分に何ができるか?」という発想の転換をして、解決策に集中してほしい、自分の感情をコントロールする術(すべ)が必要なのです。(本書、エピローグより抜粋)
悩みが何であるのかを理解し、逃れられない不安から解放されるために、まず「書き出す」。後は行動あるのみ。安易に答えのある本を探すのではなく、自分自身の手で悩みを明確にし、考え、行動してほしい。きっと出口(光)が見えてくるから……。