ファッショントレンドから時計をデザインする

変化著しいグローバルマーケットにおいて、「カルバン・クライン・ウォッチの強味」とラウラが強調したのは、そのバックグラウンドである。

「世界的なファッションブランドが歴史と伝統を持つ時計メーカーとライセンス契約を結ぶのは、世界初といえる画期的な試みでした。それが他社の時計との差別化につながっています。

私たちがつくる時計には3つの大きな特徴があります。1つ目はカルバン・クラインによる美しいデザイン。2つ目は、スイスメイドであること。これは高い品質と優れた性能を意味しています。そして3つ目は、買いやすい価格帯であること。こうした要素が融合している時計は、カルバン・クラインだけと言っていいでしょう」

ブランド力も大きな武器となっている。ラウラによれば、カルバン・クラインの知名度は先進国で85%に及ぶという統計もあるそうで、「コカ・コーラやナイキに匹敵するレベル」と胸を張る。

「もちろん、我々のような結びつきは、容易にできることではありません。しかし、両者をバランスよくマッチさせれば、大きなパワーになるのです」

こうした画期的なコラボレーションを象徴するのが、毎年行なわれる新作発表会だ。ニューモードの発表はファッションでは当たり前のことだが、時計メーカーとしては珍しい。新作にはファッションでの流行も敏感に取り入れられる。

「新商品の開発は、カルバン・クライン本社から伝達されるトレンド情報がベースになります。それをもとに色や素材などデザインを練っていく。一方で、時計としての品質や性能も進化させます。その中で、カルバン・クラインらしさをどのように表現するのかがポイントになるのです」