未来を担う子供たちを、町ぐるみで育てる。
山田園長とききょう保育園は、町田市での反対運動をなぜ乗り越えられたのだろう。著書の中で園長は「保育園は家庭の延長線上にある昼間の大きな家だ」と書いている。それから、いまの園の状況について「ききょう保育園はもう鶴川1丁目の一員である。これからも町内会の会員として役に立てる保育園になっていこうと思っている」と記している。
保育園はひとつの家であり、町の一員である。だから子供を預ける親だけでなく、同じ町に住むすべての人びとの役に立ちたい。その理念が、町との共生をもたらしたのだろう。
これは、子供を預ける親たちも考えておきたいポイントだと思う。あなたが預けた保育園は、その町の一員。だとしたら、あなたもその町の一員なのだ。そういう意識を持てるかどうかは、これから続々新設される保育園と町との関係に関わってきそうだ。ききょう保育園から私たちが学べる点は多い。
この事例を参考に、目黒区の問題も見つめてみたいと思う。
コピーライター/メディアコンサルタント
1962年福岡市生まれ。東京大学卒業後、広告会社I&Sに入社しコピーライターになり、93年からフリーランスとして活動。その後、映像制作会社ロボッ ト、ビデオプロモーションに勤務したのち、2013年から再びフリーランス。ブログ「クリエイティブビジネス論」でメディア論を展開し、メディアコンサル タントとしても活躍中。最近は育児と社会についても書いている。著書にハフィントンポストへの転載が発端となり綴った『赤ちゃんにきびしい国で、赤ちゃんが増えるはずがない。(http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4990811607/presidentonline-22/)』(三輪舎刊)がある。