一番の問題は国会質疑対応業務だ。一般的な大臣答弁を作成・調整する所要時間は8~9時間。前日の18時までに質疑要旨通告がなされると、徹夜の作業は必須となる。「前々日の18時」までに出してもらえば、翌朝から日中で対応できる。小さな子どもがいる、介護をしているなど時間制約がある職員でも、この業務に対応できる。ちなみに海外では「質問通告は3日前(英)、前週の金曜日まで(独)」となっている。海外の省庁に派遣されると「午後7時にはガランとする役所」に、日本の役人は誰もが驚くという。

しかし、国会をも巻き込むこの提言は、かなり勇気のいるものだ。縦社会の強い官僚組織の中で、なぜこのような提言ができたのだろうか?

「まず村木厚子次官に相談に行きました。そうしたら『やってみなさい。応援するから』と。それから小渕優子さんのところに行くときも、母親のようについてきてくださった」

小渕さんもすぐに「やりましょう」と自民党幹部や内閣人事局長に話をしてくれ、今や自民党議員のほとんどが「前々日」の締め切りを守ってくれているという。女性たちの声に国会が耳を傾けたのだ。

「こんなに大ごとになるとは思ってもいなかったのですが、公になると多くの、特に子育て世代の男性が応援してくれた。時代の風が吹いていることを感じます」

写真=共同