死後よりも、その少し前の介護が心配
おひとりさまは“ピンピンコロリ”で、最後に葬儀費用ぐらいの財産が残っているのが、誰にも迷惑をかけない最高の最期となり、年老いた兄弟姉妹はともかく、甥・姪もホッとするところでしょうが……、人はどのような最期になるのか選ぶことができません。
おひとりさまが病気や突然の事故で意思の疎通ができなくなると、周囲の人が困ることになります。おひとりさまが自分の力でどうにもならなくなったとき、面倒を見てくれるのは兄弟姉妹であり、先に亡くなっていれば甥・姪です。たとえ、福祉のお世話になるとしても、血縁関係のある甥・姪がなんらかの書類にサインをしなければなりません。
さらに、もし、おひとりさまが生死をさまようような危篤状態に陥ったとき、手術の合意、延命治療の有無、万が一の場合の会社や知人への連絡、葬儀の執り行いも、甥・姪がやることになるのかもしれません。普段から甥・姪と交流があればまだしも、若い甥・姪に叔母であるおひとりさまの希望がわかるでしょうか? 延命治療の判断をさせるのは酷ではないでしょうか。
また、おひとりさまに借金がないとも限りません。相続に関しては、借金も相続人が引き継ぐことになります。借金は相続を放棄すればチャラになりますが、手続きの期限を過ぎてしまうと放棄ができなくなります。叔母のキャッシングや借入金を甥・姪が背負う……ということもありえなくはないのです。