おひとりさまこそ「エンディングノート」が必要

そこでおひとりさまは、甥・姪に迷惑をかけないためにも、“立つ鳥跡を濁さず”の精神で、若くても万が一の支度をしておくことをお勧めします。現実としては、亡くなったあとはどうすることもできないので、相続そのものよりも、その前の段階である介護や葬儀、お墓についての準備のほうが重要かもしれません。

これからも元気に安心して生きていくための支度として、活用したいのは「エンディングノート」です。エンディングノートは遺言とは異なり、法的効力はありませんが、おひとりさまが病気や認知症になったときや、そして死後に、甥や姪の負担を減らすツールとなります。

ノートには財産のありかはもちろんですが、まずは認知症になった場合を想定し、老人施設に入る場合にどんな施設に入りたいか、費用はどうするかなどを書いておきましょう。さらに、最期の延命治療の有無、万が一のときに誰に知らせるか、葬儀の方法、お墓の希望など、残された甥・姪が、叔母に対して悩んだり、迷うであろうことを重点的に書いておきます。手術の同意も、延命治療の有無も、血縁関係のある身内でないとできないことになっているからです。

エンディングノートは、信頼できる兄弟姉妹、甥・姪に託すのがベストですが、それはちょっとハードルが高い話です。ノートは自分の死後、身内がすぐに探し出せるような場所に保管しておくのがよさそうです。

ここでもし、甥・姪に何一つ迷惑をかけたくはない、もしくは財産を残したくはない、あるいは自分は一人っ子という人は、専門家に相談をして遺言を残しましょう。遺言で遺産をユニセフや赤十字、はたまた発展途上国に学校を作る団体に寄付するのもアリです。遺言を書いてもその存在がわからなければ意味がないので、信頼できる人に死後のことを頼むのも手ですが、その人が先に亡くなってしまうこともありえるので、ここは弁護士や司法書士など専門家に頼み、「死後委任契約」を結んでおけば完璧です。

マネージャーナリスト 坂本君子(さかもと・きみこ)
広告代理店、出版社にてサラリーで働くエディター、ライター、プランナー、コピーライターを経てフリーに。得意分野は投資、住宅関連。大ブレイクはしないけれど、仕事は堅実でハズさない。満を持して2008年に起業。個人投資家としての投資歴は15年選手(ちょっぴりプラス)。