相続税より財産の分け方のほうが大切

といっても、現在、相続税がかかるのは亡くなった人全体の4%程度。増税後にはそれが6%程度に増えるといわれていますが、それでも大多数の人には相続税がかかりません。でも、「なんだ、それなら安心」と思うのは間違い。相続には、税金よりずっと大切なことがあります。それは、「財産を家族でどう分けるか」という問題です。

「うちには大した財産なんてないから、関係ないじゃない?」と思う人もいるでしょう。でも、実は、財産が少ないほうが相続で揉めるケースが多いのです。

これは、少し考えてみればわかります。財産がたくさんあったら、家族全員が納得する分け方もできるでしょう。でも、財産が自宅1件のほか預貯金が少しだけだったら? もし兄弟のうち1人が自宅をもらってしまえば、ほかの兄弟と大きな差がついてしまいます。「それじゃ不公平!」といって兄弟ゲンカに発展する――そんなケースがとても多いのです。

将来、自宅をどうするかは本当に難しい問題です。今後10年、20年経ったとき、親の面倒を誰が見るか? そんなことも合わせて考えなくてはなりません。

30代にもなれば、兄弟姉妹がみんな離れて暮らしていることも多いでしょう。会って話す機会もあまりないかもしれません。お盆に実家で家族みんなが顔を合わせたときは、家族で将来のことを話し合ういいチャンスです。