■編集部より指令

今回は、企業の「働かないオジサン問題」に取り組みたく思います。

ワーキングマザーからは、「私たちがお荷物と呼ばれたり、権利主張型ローパフォーマーなどと言われたりするけれど、働かないオジサンのほうがよっぽど生産性が低いのでは」といった声も聞かれます。

ここ最近、ますます増えたという「働かないオジサン」。人手不足が叫ばれる中、企業になぜ存在し続けるのでしょうか。

■佐藤留美さんの回答

なぜ「働かないオジサン」が発生するのか -男社会のトリセツIII・女の言い分
http://president.jp/articles/-/12683

■大宮冬洋さんの回答

無能だけどご機嫌なオジサン

僕の近所に人気のケーキ屋があります。厳選した素材の味を生かしつつ、味つけとデコレーションにも控えめなセンスが感じられるケーキは評判を呼び、夕方に行くと売り切れてしまっているほどです。この店のオーナー兼パティシエは女性なのですが、店頭には顔を出しません。いつもレジにいるのはのんきな顔をした40代男性です。

夫婦で経営している、と言えば聞こえはいいのですが、このおじさんはほとんど何もしていません。商品知識は皆無に等しいくせにものすごいおしゃべりで、「クワガタを獲りに行った」とか「あのガラクタショップがついに閉店!」みたいなどうでもいいトークを相手かまわず炸裂させてオシャレな店の雰囲気をちょっと壊しています。ただし、いつでも上機嫌。

この夫、はっきり言えば無能です。働かないおじさんですね。でも、妻は幸せなのではないでしょうか。仕事の面ではとてつもなく優秀な自分。やりたいこともはっきりしている。家族を養う分だけ稼ぐ自信もある。夫は仕事の邪魔をしないどころか機嫌よく店番までしてくれる。一部のお客さんからはウザがられているけれど、接客のまずさをカバーできる商品力があるので問題はありません。

僕はこのおじさんを密かに尊敬しています。40代の健康な男性なのに妻が取り仕切る店のレジに立っている。それでも愉快そうにしている、なんて器の大きさは尋常ではありませんよ。いざというとき(強盗が押し入るとか)は、身を挺して妻を守る覚悟があったりするのでしょうか。おじさん、かなり弱そうだけど……。