趣味を介して役員とつながってみる

さて、12年以上も出版社などに「営業」をしてきたフリーライターとして、今回のテーマに反論というか意見を述べさせてもらいます。趣味つながりなどの人脈は、営業の「とっかかり」や「メンテナンス」としては確かに有効です。タバコや酒だけでなく、犬や猫などのペットを使ってもいいから顧客に近づき、「気軽に連絡しやすい間柄」を維持するべきだと思います。

しかし、仕事の本質はあくまで仕事です。どんなに親しくても能力不足の人に大きな仕事を任せようとは思いませんよね。失敗したときに巻き込まれるのは自分なのですから。だから、タバコ部屋「だけ」で人事が決まっていると思うのは被害妄想に過ぎません。

ほとんど同じ能力と実績を持つ2人がいたとしたら、人事権を持つ上司は自分と同じく愛煙家の部下を抜擢するかもしれません。「実力は拮抗していたけれど、上司にかわいがられるという重要な能力で自分は劣っていた」と敗れたほうは反省すべきだと思います。「気軽に連絡しやすい間柄」を構築して維持することは社内だけでなく、顧客に対しても発揮できる力だからです。

ただし、反省し過ぎることはありません。無理にタバコを吸い始める必要もありません。あなたは小学校のときから将棋にのめり込んでいますよね。プロの棋士を目指して地元の大会で優勝したこともあります。役員の一人に将棋好きがいることをご存知でしょうか。あなたの実力を知ったら「一局、どうかね?」と声をかけられることもあるでしょう。大きな「とっかかり」を作るチャンスです!

大宮冬洋
1976年埼玉県生まれ。一橋大学法学部卒業後、ファーストリテイリング(ユニクロ)に就職。退職後、編集プロダクションを経て、2002年よりフリーライターに。ビジネス誌や料理誌などで幅広く活躍。著書に『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました。』(ぱる出版)、共著に『30代未婚男』(生活人新書)などがある。
実験くんの食生活ブログ http://syokulife.exblog.jp/