お祝い金は厄除けのつもりで

祝いたくない気持ちはわかります。Aさんの幸せなんてどうでもいいし、プライベートで関わりたくもないし、1万円の出費は惜しいですよね。でも、お賽銭や厄除け、悪魔祓いのつもりで出しましょう。「いいことがありますように」という図々しい願いではなく、「悪いことが起きませんように」「私は敵ではありませんので憑りつかないでください」という慎ましい祈りです。旅先で祠やお地蔵さんを見かけたら手を合わせるようなものですね。自己中心的なAさんはお礼メールすら返して来ない可能性がありますが気にしないでOK。厄払いをした神社からお礼のハガキなんて要らないですよね。

そもそも、誘われないようにするには?

以上が正論です。こんなことをいちいちやっていたらお小遣いがなくなってしまいます。対策を考えましょう。

好きでもないAさんから「2次会に来て~」と誘われない方法を実践すればいいのです。Aさんのような人間が長く在籍できる会社に入ってしまったのがそもそもの間違いなのかもしれません。親しくもない人から「結婚を祝ってもらおう」と思うのは相当なバカですよ。転職の理由に十分なり得ると僕は思います。バカは伝染しますからね。

転職したくない場合(そのほうが多いですよね)、Aさんからできるだけ距離を置くようにしましょう。休憩時間に一緒に過ごすのを避ける、業務以外のことで話しかけない、年下でも丁寧語で接する、などの工夫で十分だと思います。露骨に無視をしたりすると「敵」になってしまうので、むしろ営業スマイルで応対して、「近づきがたい人。気軽に誘いにくい人」という位置づけを目指しましょう。

同僚は必ずしも友だちではありません。幸せを喜ぶ必要はないと僕は思います。ただし、「祝わないことで呪ってしまう」事態だけは避けたいものです。

大宮冬洋
1976年埼玉県生まれ。一橋大学法学部卒業後、ファーストリテイリング(ユニクロ)に就職。退職後、編集プロダクションを経て、2002年よりフリーライターに。ビジネス誌や料理誌などで幅広く活躍。著書に『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました。』(ぱる出版)、共著に『30代未婚男』(生活人新書)などがある。
実験くんの食生活ブログ http://syokulife.exblog.jp/