■編集部より指令

自分自身が管理職に就くことには興味がないし、同期の男性が出世しても気にならないのに女性が抜擢されたらなんとなく、胸がざわつく。思ってもいなかった同僚の妊娠の報告にも……。本当は祝福すべき場面でそれを喜べないとき、自分の感情をどうコントロールすればよいでしょうか。

■佐藤留美さんの回答

「劣等感」「やきもち」の連鎖から抜け出す法 -他人の幸せ・女の言い分
http://president.jp/articles/-/12379

■大宮冬洋さんの回答

結婚式への参加を断る方法

さきほど昼寝して機嫌が良くなったので、正論から言わせてください。祝うべきことを目の当たりにして祝わないのは、「呪い」をかけているのと同じです。相手にも自分にも悪影響を与えてしまいます。

わかりやすい例が結婚ですね。婚約をした同僚Aさんが「2次会に来て~!」と浮かれ気味に誘ってきたとしますよね。Aさんは普段から好きではない、はっきり言って嫌いな女性です。センスの悪い店に下品な友だちを集めたくだらない2次会に決まっています。行きたくないですね。行かなくてもかまいません。何か重要な用事を思いついて丁重に断りましょう。

ただし、祝いの場に誘われているのに「おめでと~」の言葉だけでは足りません。必ず何か贈り物をしてください。贈り物を選ぶのが面倒くさければ1万円分ぐらいの商品券でも送りましょう。

何もしないと、「あなたの結婚を祝うつもりはないし、私たちはそんな人間関係でもない」と宣言しているのと同じになります。無神経で鈍感なAさんは手当たり次第に誘っているので、あなたから参加を断られてもたいして気にしないかもしれませんが、客観的に見ると「結婚を具体的に祝わない=敵対関係にある」になってしまうのです。職場という身近に敵をつくることは避けたいですよね。

お祝い金は厄除けのつもりで

祝いたくない気持ちはわかります。Aさんの幸せなんてどうでもいいし、プライベートで関わりたくもないし、1万円の出費は惜しいですよね。でも、お賽銭や厄除け、悪魔祓いのつもりで出しましょう。「いいことがありますように」という図々しい願いではなく、「悪いことが起きませんように」「私は敵ではありませんので憑りつかないでください」という慎ましい祈りです。旅先で祠やお地蔵さんを見かけたら手を合わせるようなものですね。自己中心的なAさんはお礼メールすら返して来ない可能性がありますが気にしないでOK。厄払いをした神社からお礼のハガキなんて要らないですよね。

そもそも、誘われないようにするには?

以上が正論です。こんなことをいちいちやっていたらお小遣いがなくなってしまいます。対策を考えましょう。

好きでもないAさんから「2次会に来て~」と誘われない方法を実践すればいいのです。Aさんのような人間が長く在籍できる会社に入ってしまったのがそもそもの間違いなのかもしれません。親しくもない人から「結婚を祝ってもらおう」と思うのは相当なバカですよ。転職の理由に十分なり得ると僕は思います。バカは伝染しますからね。

転職したくない場合(そのほうが多いですよね)、Aさんからできるだけ距離を置くようにしましょう。休憩時間に一緒に過ごすのを避ける、業務以外のことで話しかけない、年下でも丁寧語で接する、などの工夫で十分だと思います。露骨に無視をしたりすると「敵」になってしまうので、むしろ営業スマイルで応対して、「近づきがたい人。気軽に誘いにくい人」という位置づけを目指しましょう。

同僚は必ずしも友だちではありません。幸せを喜ぶ必要はないと僕は思います。ただし、「祝わないことで呪ってしまう」事態だけは避けたいものです。

大宮冬洋
1976年埼玉県生まれ。一橋大学法学部卒業後、ファーストリテイリング(ユニクロ)に就職。退職後、編集プロダクションを経て、2002年よりフリーライターに。ビジネス誌や料理誌などで幅広く活躍。著書に『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました。』(ぱる出版)、共著に『30代未婚男』(生活人新書)などがある。
実験くんの食生活ブログ http://syokulife.exblog.jp/