金利が低水準のうちに、全期間固定金利型で借りるチャンスを逃さないで

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「フラット35」の融資基準

全期間固定金利型の住宅ローンとしてはメリット大の「フラット35」だが、そもそも良質な住宅を普及させたいとの国の施策なので、建物にも一定の条件がある。

建物の耐久性や耐震性には機構の独自の基準があり、また延床面積は一戸建てで70平方メートル以上、マンションで30平方メートル以上あることが融資の条件だ。

特に注文住宅は検査途中と、完成後に検査が行われ、「適合証明書」を交付してもらってから、融資を受けることになる。そのため施工会社に途中で支払う「着工金」や「中間金」などは、別途「つなぎ融資」を利用するのが一般的だ。

「フラット35」を利用したい場合は、取り扱いのある金融機関で契約をする。このとき、同じ「フラット35」という名前でも、金融機関によって金利や融資手数料などが違う。A銀行では金利1.7%、Bバンクでは2.4%ということもありえるのだ。

金利の差は融資手数料によるところが大きく、融資手数料は「定率型」と「定額型」の2タイプがある。定率型は融資額に対して定率で手数料がかかる仕組みで、適用金利が低いものに多く見られるのがこのタイプ。一方、融資額に関係なく手数料が一定なのが定額型で、適用金利は高いものの手数料がその分低く設定されている。このように見た目の金利比較だけではなく、手数料もよく比べて借りるところを決めよう。

また、「フラット35」のバリエーションとして、エネルギー性、耐震性などに優れた住宅を取得される場合に、借入金利を一定期間引き下げる「フラット35」Sもある。これは国が税金を使って補助しているため予算枠があり、予算金額に達したら終了となる。優良住宅は一般住宅より建築費は高めだが、長期的に見ると維持費を抑えられるし、省エネ効果も高いメリットがある。さらに住宅ローンの金利優遇があれば、一度は検討してみたいところだ。

現在、住宅ローンの金利は変動金利型も史上最低水準なので、全期間固定金利型は高く感じるかもしれない。けれども、30年を超えることが多い借入期間中、変動金利がこのままずっと低水準であることは考えにくく、変動金利型にすると返済額が予想以上に高くなる可能性がある。「フラット35」の金利は現在2%前後、低めの固定金利で借りられるチャンスともいえる。最初から返済額がずっと変わらない全期間固定金利型で家計を安定させれば、計画性を持って暮らしていけるのだから。

マネージャーナリスト 坂本君子(さかもと・きみこ)
広告代理店、出版社にてサラリーで働くエディター、ライター、プランナー、コピーライターを経てフリーに。得意分野は投資、住宅関連。大ブレイクはしないけれど、仕事は堅実でハズさない。満を持して2008年に起業。個人投資家としての投資歴は15年選手(ちょっぴりプラス)。