知らぬ間にカビの胞子が衣服についている

では、「きちんとした人」と信頼される服装でいるためのお手入れでは、どんなことに気をつければよいだろうか?

ウールのニットに虫
写真=iStock.com/dblight
※写真はイメージです

身だしなみを整えたいのに、衣替えで取り出した秋冬物に、汚れや穴があったら困る。なぜそうした問題が起きるのだろうか? 衣類についた食べこぼし、飲みこぼしや着用でつく皮脂は、そのままにしておくとシミになり、コイガやヒメカツオブシムシの幼虫が繊維と一緒に食べて、穴が空くリスクがある。

また、植木や観葉植物、土などにはカビの胞子がたくさんいる。知らない間に衣服につくので、濡れた衣類を湿気が溜まった空間に放置すれば、カビてしまう。こうした問題に、どのように対応すればよいのか、東京都クリーニング生活衛生同業組合の専務理事、田村嘉浩さんに聞いた。

被害を防ぐには、汚れた部分を洗っておくのはもちろん、衣類に通気性のよい不織布などのカバーをかけておくとよい。ただ、注意すべきなのは、クリーニング店がかけるカバーのままの場合、「中に溶剤のガスが残っていると、ビニールと反応し衣類に白く粉のようなものが付くリスクがあります。基本的には外していただき、100円ショップで売っている不織布のカバーに付け替えて収納するのもよいと思います」と田村さん。

家庭で処理できる汚れも

また、閉め切ったクローゼットやタンスの中は通気性が悪く、湿気がこもりやすいので、カビが繁殖し、虫が育つ環境と言える。家は寝に帰るだけ、という人も要注意。サーキュレーターを回しておくなど、衣類を置いた空間に風を送る必要がある。「室内の人が活動する場所に置くだけでも、空気は動きます」と田村さん。

「気になる汚れがあればクリーニング店に相談してください。全部クリーニングするよう勧めるわけではないですし、ご家庭でできる場合はその旨お知らせします」と語る田村嘉浩さん。
撮影=プレジデントオンライン編集部
「気になる汚れがあればクリーニング店に相談してください。全部クリーニングするよう勧めるわけではないですし、ご家庭でできる場合はその旨お知らせします」と語る田村嘉浩さん。

食事中に汚した場合のしつこい油シミは、食器用の中性洗剤をつけて部分洗いをしておけば「洗濯機だけで洗うよりはよく取れます。部分洗いの摩擦で生地が傷みそうな場合は、『これは家で洗えますか?』とクリーニング店に相談してもいいと思います。シーズンが終わった衣類をクリーニングに出す際も、気になる汚れはあらかじめ相談しておくほうがいい」と田村さん。

「相談されたからといって、全部クリーニングするよう勧めるわけではありません。ご家庭でできる場合はその旨お知らせしますし、ご家庭での処理が難しいダメージについては、必要なら見積もりを出します」と補足する。

シーズン後にクリーニングに出すと、一度にたくさんお金が出ていくので、シミ抜きの部分洗いに余計なお金を取られたくない、と感じる人がいるかもしれない。それを裏付けるように総務省の家計調査では、一世帯当たりのクリーニング支出額は長年減り続けており、二人以上の世帯の場合、1992年は一世帯当たり年間19,243円だったのが、2025年は4,785円でしかない。

【図表】一世帯当たりのクリーニング支出額の推移
出典=総務省統計局「家計調査報告」より(単位:円)

しかし、シミを見られたら、「衣服の手入れが行き届かない人」と思われかねない。ビジネスの場で着る衣服のクリーニング代は必要経費と割り切ろう。また、多少のシミ抜きは通常料金に含まれるクリーニング店もある。