「母親ありきの結婚生活」への不安
彼女は、自分には彼の母親と同じレベルの家事スキルはないと言う。彼には、きれいな部屋も、食事も、アイロンのかかったシャツも用意されている。
これほど快適な暮らしなら、彼は独身生活を手放したくなかったのではないか。彼女は、そんなふうにも考えた。ただ、彼がこれまで結婚しなかった理由は、それだけではわからない。
彼女は「どこか抜けていてかわいい」彼と、二人で家庭を築いていきたいと思っていた。しかし、彼の暮らしは母親のバックアップがあってこそ成り立っていた。だが、彼女は、母親の代わりに彼の身の回りを整えるのは到底無理だと言う。
結婚後も共働きであれば、実家の支援はありがたい。実家の近くに住み、力を借りて暮らすこと自体は、悪いことではない。私は彼女に、二人で協力することを前提に、実家の援助を受けてもよいのではないかとアドバイスした。だが、彼女の不安は消えなかった。
「私がお母さまと喧嘩したら、彼は母親の味方になる」
「彼は一切家事をできないし、やらないに違いない」
「専業主婦である彼の母親のように、私も完璧な母親であることを求められる」
「結婚後は毎日のように、合鍵で母親がやってくる」
彼女は、次々と結婚後の不安を口にした。ついさっきまで素敵だったはずの彼への見方は、一変していた。
「実家との距離」は確認すべき
確かに彼は、母親のサポートを当たり前のように受け入れ、一人暮らしをしていた。もし、母親がしてくれていた家事を、結婚後は配偶者に任せきりにするつもりなら、結婚相手にはおすすめしない。
では、相手の家事能力や実家との距離感を、どのように確かめればよいのか。このことを見極めるためには、下記のポイントに注意してみるといい。
・今の住まいは実家からどのくらい離れているか。実家とはどのくらいの頻度で行き来しているか。
・結婚後、親にどんな援助を頼みたいか。親が自宅を訪ねる頻度や、親に合鍵を渡すかどうかをどう考えるか。
・パートナーと自分の親の意見が食い違ったら、どう解決するか。
これらは、結婚前に具体的に話し合っておいたほうがよい。実家の近くに住んでいるというだけで、相手の自立心までは判断できない。
別の女性は、経済的に恵まれた家庭の男性と結婚した。毎週日曜日には、夫の実家の家族と夕食を共にするのが恒例だった。夫がゴルフなどでいない日も、この食事会は開かれていた。女性は、夫が不在の日は食事会に参加しないことにしたいと夫に頼んだ。だが、夫はその希望をこう一蹴したという。
「なんで嫌なの? 親の金でうまいもん食えるし、文句ないじゃん」