『女友だちの賞味期限』プレジデント社刊
――この本には、女友だちが自分に同化して、同じ服を着たり、人に自分が言ったのと同じことを言ったり、しまいには彼を取ろうとするので、気持ち悪くなってくる、という話があります。

同一化、あるいは、心理学では凝集化というんですけれども、自分一人では自信が持てないので、似たもの同士で集まり、同じファッションとか、同じ化粧をすることで、社会に対していくということがあります。そうしながらも、個性化したいという欲求もあり、個性化しながら他の人と比較する。だから自分が上に立てる材料を探す。みんなのお父さんの車はカローラだけどうちはBMWだとか、そういうつまらないことで、違いを見つけようとしたりします。

でも、これから、シングルのまま都会で働いて暮らす女性がますます増えて、そういう女性が高齢になって、家族や親戚もいないままで、病気になったり、入院したら、遠くの親戚より近くの女友だちが、お互い助け合わなきゃならない時代になります。

――香山先生の理想の友だち像は?

出入り自由の関係かな。お互いの人生の中で、時期によっては、異性に気持ちがいくとか、仕事で忙しいとか、そういうことで一時、疎遠になることってありますよね。でも、また、いつでも戻れるような、そういうゆるい関係でしょうか。そのために大事なのは、私が友だちとすごく会いたいと思っても、相手が忙しくてちょっと会えないと言われたら、「嫌われた」とか極端に考えない、一喜一憂しない、という態度。

そして、独善的にならないことです。たとえば、子どもがいる女性といない女性の関係は難しい。先日ある人が、一緒にケータイを買った友だちが、毎日、自分の子どもの写真を送ってくると言ってました。嫌がらせのつもりでもなんでもなくて、本当にうちの子がかわいいから見せようという、ただそれだけ。それはわかるけど、毎日だから、返す言葉も「かわいいね」のバリエーションが切れて、困っている。

子どものいないほうも、お返しに、「私はこうやって楽しく毎日働いて、飲みに行ってるのよ」「今日もこんな男と会っちゃった」、という写真を毎日撮って送ればいいと思うんですけど(笑)、それはやっぱり、社会的に許されないでしょう(笑)。