人手不足の業界を救う外国人ドライバー
「これでようやく日本経済の大動脈である物流を守ることができる」と胸をホッと撫で下ろしている方もいるかもしれない。
物流業界が本格的に「外国人ドライバー」の採用に力を入れ始めたからだ。
例えば、福山通運ではインドネシアから約30人をドライバー候補として採用。ヤマト運輸でも2027年からの5年間でベトナム人運転手を最大500人ほど採用すると発表している。また、物流業界最大手のSBSホールディングスも2025年から外国人ドライバーの採用を本格化しており、今後10年でドライバー全体の3割にあたる約1800人の外国人ドライバーを確保することを目指している。
この勢いがうかがえるのが、2024年12月から始まった自動車運輸業の「特定技能1号」合格者。日本海事協会の調べでは、2026年8月末までの1年9カ月間での合格者は7524人。その内訳はトラックが6241人でタクシー682人、バス601人を大きく上回っている。
※日本経済新聞「ヤマト運輸、ベトナム人運転手500人採用へ 27年から長距離輸送で」(2025年11月13日)
※読売新聞「物流業界で外国人運転手の採用拡大、『特定技能1号』認定契機…『日本の交通ルールへの十分な理解必要』」(2026年10月11日)
では、なぜ物流業界はここまで積極的に外国人ドライバーを増やそうとしているのか。
「2030年問題」を回避する重い代償
それは「物流2030年問題」が控えていることが大きい。
この業界もご多分に漏れず、深刻な人手不足に悩んでおり、ドライバーの高齢化が急速に進んでいる。いくら人生100年時代とはいえ、65歳以上で長距離トラックを操るのは労働環境的にも安全的にも厳しい。そういう高齢ドライバーが現場から離脱し始めるのが2030年ごろからで、そのため物流コストの上昇や、荷物が届かなくなるなどの配送トラブルが増えていくと言われている。
物流コンサルティングを行う株式会社NX総合研究所が2019年に政府に提出した資料によれば、「2024年問題の影響」も相まって「輸送能力の34.1%(9.4億トン)が不足する可能性」があるという。
「Amazonでポチっても時間通りに配達されない世界なんて不便すぎる。それが外国人の力で改善されるならいいことじゃないか」などと、これらの動きを前向きに受け取る人もいるだろう。
ただ、仮に物流2030年問題を回避して今のような「便利さ」や「安さ」などを守ることができたとしても、それと引き換えにわれわれ日本人は多くのものを失う。物流業界に限らず、「外国人労働者」という名の移民を増やし続ける今の政策が、社会の混乱と民族対立を引き起こすことは、欧米社会を見ても明らかだからだ。

