「便利になるほど不安になる」AIの皮肉

AIは、単なる便利な道具ではありません。

社会のさまざまな分野に入り込み、仕事のあり方、人間関係、所得分配、さらには社会のルールそのものを変えてしまう「汎用技術」です。

そして、そこにAIの大きな「光」と「影」があります。

まず考えられるのが、仕事をめぐる不安です。

AIによって定型的な頭脳労働まで自動化されれば、これまで人間が担ってきた仕事の一部が不要になる可能性があります。もちろん、AIによって新しい仕事が生まれる可能性もあります。

しかし、「自分の仕事は将来も必要なのか」「AIに仕事を奪われないだろうか」という不安が広がれば、たとえ現在の所得が変わらなくても、生活に対する評価は下がってしまうかもしれません。

さらに、AIによって生み出された利益が一部の企業や資本家、そして高度なAI技術を持つ人々に集中すれば、所得格差が拡大する可能性もあります。「社会全体は豊かになっているのに、自分はその恩恵を受けられていない」。こうした感覚も、人々の幸福度を押し下げる要因になり得ます。

そして、もう一つ無視できないのが、監視とプライバシーの問題です。

AIによる顔認識や行動分析などが広がれば、私たちの生活は便利になる一方で、「いつ、どこで、何をしているのかを見られている」という感覚が強まる可能性があります。

AIは私たちの生活を便利にする。しかしその一方で、仕事を奪われる不安、格差への不満、プライバシーへの懸念まで生み出してしまう。

頭を抱えながら、水辺を歩いている男性のシルエット
写真=iStock.com/yamasan
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幸福度を反転させる条件

こうした「AIの負の側面」が重なることで、AI開発が進んだ国ほど幸福度が低下する。

研究結果は、そうした可能性を示唆しています。

ところが、ここからがこの研究の本当に興味深いところです。

AIが進むほど幸福度が下がるのなら、AIを導入すればするほど、人々は不幸になってしまうのでしょうか。

実は、そうではありません。

ある条件が整った国では、AIと幸福度の関係が逆転することが確認されているのです。

では、その「幸福度を反転させる条件」とは、一体何なのでしょうか。