「鈍感力」を発動させる賢い方法
相手に対して感情的になり、怒りをあらわにしてぶつかっても、得られるものはありません。
もちろん、あからさまなハラスメントには断固として声を上げるべきですが、日々さらされる理不尽なことや外野の雑音にいちいち反応していては、疲弊するばかりです。そんなときは、「鈍感力」を発動させましょう。
鈍感力とは、ストレスの原因を真正面から受け止めるのではなく、上手にかわしたり、適当に受け流したりするスキルのこと。心を乱す雑音や逆風は、「どこ吹く風」とスルーするのが賢い方法。
悪口や意に染まない意見をいわれたら、聞こえないふりを。これに限ります。
「否定も肯定もせず」に開く活路
私が20代で結婚したとき、義母から告げられたのは「子どもが生まれたら、医師のお仕事はお休みしてくださいね」ということ。「いつまでですか?」と問い返すと、「子どもが成人するまでです」。
当時、出産後も働く女性は少なく、一人っ子の長男である夫の実家からの過干渉はすさまじいものでした。
子育てのための20年のブランクは、医師としてのキャリアをほぼ断つことになります。「日本一の医師になる」ことを生涯の目標にしていた私にとって、義母のその言葉は衝撃的でしたが、私は何のリアクションもしませんでした。
考えの違う人に向かって声を荒らげたり、怒ったりしても、状況が好転することは残念ながらありません。ただただふつうに接するのみ。急いで白黒つけなくても、自分の考えさえブレなければ、必ず活路は見出せます。
「そんな考え方もあるのだな」と思って、否定も肯定もせずにやり過ごすうち、「この人を変えることはできない」と周りがあきらめてくれるでしょう。
生きるヒント
人生は有限。今の自分をつくってくれた苦楽に感謝し、これからのかけがえのない日々を大切に生きる
1942年生まれ。循環器内科医。静風荘病院特別顧問。日本性差医学・医療学会理事、NPO法人性差医療情報ネットワーク理事長。東京大学医学部卒業。女性外来・性差医療の先駆者としての功績により令和7年吉川英治文化賞を受賞。
