「痩せすぎ」は不健康の象徴である

だからこそ、若い女性には、きちんと食べる勇気を持ってほしいのです。深刻なエネルギー不足を避け、良質な脂質やたんぱく質を十分に摂ることで、ホルモン産生や細胞の機能が正常に維持されやすくなります。こうした栄養状態の全体的な改善こそが、実は最も確実に美しさを保ち、健康を守り、将来の人生を支える方法なのです。

未来の自分のためにできる最大のセルフケアは、何かを我慢することではありません。まず「しっかり食べる」ことから始まるのです。

カロリー不足の影響は筋肉や皮膚といった外見の問題に留まりません。脳のパフォーマンスにも深刻なダメージを与え、エネルギーが枯渇した状態を放置すれば、心の不調さえ引き起こしかねないのです。

にもかかわらず、こうした危険性がほとんど顧みられず、メタボ対策という言葉だけが独り歩きしてしまっているのが、いまの日本の現状です。本来の目的を忘れ、「痩せている=健康」という短絡的な価値観だけが社会に定着してしまった。この点こそ、私は強い危機感を覚えるところです。

なぜなら、長寿研究や脳科学の視点から見れば、痩せすぎはむしろ不健康の象徴であり、脳の老化を早める最も危険な状態のひとつだからです。実際、日本人の死亡率を長期間かけて調べた大規模研究でも、痩せていることが健康的であるという根拠はどこにも示されていません。

「ふっくら」が長生きという研究結果

国立がん研究センターが、日本人男女約35万人を対象に行った大規模な調査(図表1)によれば、中高年の日本人において死亡リスクが最も低くなるBMIは「21~26.9」という広めの範囲であることが示されました。より詳しくデータを見ると、男性ではBMI25~26.9(いわゆる小太り)、女性では23~24.9の範囲で死亡率が最低となっており、現在の一般的な標準体重の目安(BMI22)よりも、やや「ふっくら」とした体型の方が長生きであるという驚くべき実態が浮き彫りになったのです。

一方で、BMI 18.5未満の「痩せ」に該当する層では、死亡率が男女ともに顕著に上昇するという事実を重く受け止めるべきです。

つまり、無理な食事制限をしてまで「モデルのような細さ」を追い求めることは、寿命の観点からも、脳と体のパフォーマンスの面からも逆効果になりかねないということです。

少しふっくらしているぐらいの方が、むしろ脳にとっても体にとっても生きる力を蓄えられる健康的な状態です。だからこそ、過度なダイエットは禁物なのです。

本書で述べた「血管のしなやかさ」「意欲の源となるホルモン」「栄養の通信簿アルブミン」の重要性を、何よりも力強く証明しているのが、柴田博先生らによる「百寿者(センテナリアン)」の調査です。