メカニズム⑥許可や代弁を求める「図星ニーズ」
最後のメカニズムが、本書の中核をなす「図星ニーズ」です。人は、自分の欲求を正当化してくれる「言葉」や「理由」を求めています。
具体例6 宅配ミールキット
オイシックスなどの宅配ミールキットが広く浸透しました。便利だから浸透したのもありますが、「時短です」「簡単です」「便利です」と訴えるだけであれば、これほどまで広がらなかったでしょう。なぜなら「手抜きをしている自分」を強調してしまうから。
宅配ミールキットに抱く、言語化されにくい消費者の本音は、「毎日ちゃんと作らなきゃ、というプレッシャーが重い」「惣菜や外食に頼ると、負けた気がする」「母親(親)として手抜きだと思われたくない」「料理しない自分を、自分で責めている」などの罪悪感。
だからこそ、ミールキット各社のコピーには、次のようなメッセージが多いのです。
「忙しい日でも、ちゃんとした食事」
「10~20分で主菜と副菜」
「栄養士監修」
「子どもに安心して食べさせられる」
これらはすべて、料理をしない罪悪感を打ち消すための言葉で、顧客の本音を「正当化」しています。許可を与える言葉の威力は強いです。なぜなら、人は、自分の欲求に「許可」が欲しいから。
「時短家電を使っても、よい親です」
「手抜き料理でも、愛情は変わりません」
「高い買い物をしても、あなたは浪費家ではありません」
「副業でラクに稼ぎたいと思うのは、当然です」
こうした「許可」を与える言葉は、アンケートでは決して出てきません。顧客自身が「言ってほしい言葉」を自覚していないからです。
しかし、その言葉を聞いた瞬間、顧客は「そうそう、それ!」と膝を打ちます。これが、図星ニーズを突いた瞬間です。