同僚からも評判が悪い

さらに、時短取得社員は、仕事を共にする上司や同僚の評判も、よくありません。

「取引先で問題が起きたなど、肝心な時に帰っちゃうから、アテにならない」(広告代理店男性社員)
「責任ある仕事を任せられないから、データの集計や情報収集などわりとどうでもいい仕事をやって貰うしかないが、そうすると、また、『もっと面白い仕事をさせろ』と文句を言う」(飲料メーカー男性管理職)
「時短社員が早く帰ってしまうから、彼女がやるはずの校了作業を私が代わりにやらされた」(マスコミ女性社員)

などです。

中には、「時短社員の時短を引っぺがす」ようにと、経営から圧をかけられる管理職もいるようです。

「ウチでは時短勤務は子どもが小学校に上がるまで取れる規則ですが、立て続けに子どもを産む人は、通算10年くらい時短社員のままです。こんな状況が続いたら、他の部員に負担が掛かり過ぎるので、最近、我々管理職の間には、彼女らに時短取得を辞めさせるように誘導しろとのお達しです」(サービス業管理職)

「時短の母」の働きぶり

こんな風に、時短社員は散々な言われようですが、ワーキングマザーを数十人取材してきた私の知る限り、夕方4時には、「残務なんて知らん」とばかりにサッと帰って、あとは放置なんて人は見たことがありません。

だいたいに、時短社員は、効率よく働く術を身に付けた人が多い印象です。

仕事時間のお尻が決まっているから、日中は火のついたように働きます。それでも、終わらないから、仕事を家に持ち帰るのはもはや常識です。

それで、子どもを保育園からピックアップし、夕飯を作って食べさせ、お風呂に入れて、遊んでやり、寝かしつけた9時ごろになって、一息つく暇もなく、パソコンの電源をオンし、再び、残務を片づけるのです。

これでは、仕事をする場がオフィスから自宅に変わっただけ。

なのに、時短した分だけ給料は引かれ、査定も下げられ、当然、出世ルートからは外され、なおかつ扱いは「半人前」。

しかも、自宅で仕事をするものだから、これを面白く思わないご主人からは、「お前、それでも時短かよ」なんて文句を言われてしまいます……。

そんな嘆きが止まらない「時短の母」を、私はたくさん知っています(もちろん、中には、「時短」の権利を乱用し、仕事の責任を果たさないワーキングマザーも少数ながらもいるには違いないだろうが)。

だったら、時短をやめれば? そう思う人もいるでしょう。

だが、妻、夫、双方の両親が遠方にいる場合、誰が子どもの保育園のお迎えをするのでしょうか?

延長保育を利用すれば? という声もあるでしょう。

でも、0歳児や1歳児の乳飲み子を、1日10時間以上保育園に置いておくのは不憫では? と、考えるのがむしろ普通なのではないでしょうか。