家賃を払えなければ「退去」を求められる

国民生活センターには、深刻な事例が寄せられています。

参考:国民生活センター「強引に勧められる住宅のリースバック契約にご注意!」令和7年5月21日

報道発表によると、ある70代女性は、生活費に困っていたときにテレビCMを見てリースバックに関心を持ち、自宅を約1600万円で売却。当初の家賃は約6万円でしたが、3年後、突然約11万円に上昇。すでに売却代金を生活費に使っており、家賃を払えないなら退去するよう求められたそうです。

また、認知症が疑われる80代男性が、自宅を相場からかけ離れた400万円で売却。月4万円の家賃を払う契約をしていたと、家族が後から気づいた事例もあったようです。

賃貸借契約が「定期借家契約」であれば、期間満了によって契約は終了します。貸主と借主が合意すれば再契約できますが、貸主が拒めば退去しなければなりません。事業者が物件を第三者へ売却し、貸主が変わる可能性もあります。

さらに、自宅を不動産業者へ売却する契約には、宅地建物取引業法上のクーリング・オフは適用されません。契約後に考え直しても、違約金などが必要になる場合があります。買い戻しも当然に認められる権利ではなく、価格や期限、契約条件によっては実現できません。

このように、契約上の「住み続けられる」期間は、「ご自身が望む期間」と一致するとは限らないのです。

「迷惑かけたくない」は危険なサイン

親がリースバックを考える背景には、「子どもに迷惑をかけたくない」という思いもあるようです。自宅を現金に換え、固定資産税や家の管理から解放されれば、万が一のときに子どもに売却や相続の手間をかけずに済む。そのように考えているのかもしれません。

しかし、家賃を払えなくなれば、退去先を探す必要があります。高齢になってからの賃貸住宅探し、保証人や保証会社の手配、引っ越し、家財の整理は大変です。場合によっては施設探しも必要です。売却代金が尽き、生活費まで不足すれば、子どもが生活を全面的に世話せざるを得なくなる可能性もあります。

もちろん、自宅を売却することで、将来、子どもが空き家の管理や処分を担わずに済むというメリットはあります。ただし、それは売却後の親の生活が無理なく続く見通しがあってこそです。

帰省したとき、親から次のような言葉が出たら、リースバックの要注意フラグが立ったと見てください。

「売っても、このままずっと住めるらしい」
「固定資産税も修繕費も要らなくなる」
「家を現金化した方がいい」
「これで子どもに迷惑をかけなくて済む」
「必要になれば、あとで買い戻せる」

もしまだ契約していないなら、まずは全力で立ち止まってもらってください。

国民生活センター「自宅の『リースバック』トラブルにご注意!」