また、前に出した足を踵から着地させることを意識すると、大股で歩きやすくなります。よく、「その歩き方では踵を傷めませんか?」という質問を受けることがありますが、踵を傷めてしまうのは重心が後ろに残ってしまっているからです。そういうときは、後ろの足の指でしっかり地面を蹴ることを意識しましょう。そうすれば体がグンと押し出されて重心がスムーズに前へ移動して、踵を傷めることなく着地することができます。

さらに、踵から着地するとつま先が上がりますので、速歩きのときに起こりやすくなるつまずきや転倒の予防になりますし、脛の筋肉も鍛えることができます。

両腕を大きく振って

【3.腕を前後に大きく振る】

速歩きのときの両腕は、肘を直角に曲げて大きく振りましょう。腕を体の横に下ろしたまま大股で歩くと腰が左右に回転してまっすぐ歩きにくくなってしまいます。左足を前に出すときは右腕を前に出す、右足を前に出すときは左腕を前に出す、ということを繰り返せば、腰の回転が止まって歩行が安定します。腕を大きく振るほど大股で歩きやすくなります。ゆっくり歩きのときは普通に歩いていただければOKです。

能勢博『30代からの科学的ウオーキング』(時事通信社)
能勢博『30代からの科学的ウオーキング』(時事通信社)

歩幅や腕の振り方も特に気を付けることはありません。

ちなみに、インターバル速歩を行うときの服装は、わざわざスポーツウェアに着替えたりウオーキングシューズを履いたりしなくても問題ありません。大股で歩ける服、底が柔らかくて曲がりやすく踵にクッション性のある靴、腕を振りやすいように両手を空けられるかばん(斜め掛けのバッグやリュックサックなど)があれば十分です。

忙しくて歩くためにまとまった時間を確保しにくい日でも、通勤や買い物、ちょっとした外出の際にこのような歩きやすい格好をしておけば、あらかじめ時間や場所を決めることなく好きなタイミングで好きなようにインターバル速歩を行うことができます。

【図表】速歩きのフォーム
出典=『30代からの科学的ウオーキング』(時事通信社)

(参考文献)
「歩き方を変える」だけで10歳若返る、能勢博 著、主婦と生活社、2013年
ウォーキングの科学 10歳若返る、本当に効果的な歩き方、能勢博 著、講談社ブルーバックス、2019年
健康寿命が10歳延びる「筋トレ」ウォーキング 決定版、能勢博 著、青春出版社、2020年
・Nose H. et al. : Beyond epidemiology: field studies and the physiology laboratory as the whole world. Journal of Physiology 587:5569-5575, 2009.
・Morikawa M, et al. : Physical fitness and indices of lifestyle-related diseases before and after interval walking training in middle-aged and older males and females. British Journal of Sports Medicine 45: 216-224, 2011.
・Masuki S, et al. : High-Intensity Walking Time Is a Key Determinant to Increase Physical Fitness and Improve Health Outcomes After Interval Walking Training in Middle-Aged and Older People. Mayo Clinic Proceedings 94: 2415-2426, 2019.
・Masuki S, et al. : Internet of Things (IoT) System and Field Sensors for Exercise Intensity Measurements. Comprehensive Physiology 10: 1207-1240,2020.
ACSM’s Guidelines for Exercise Testing and Prescription, 11th edition,Wolters Kluwer, Philadelphia, PA, pp142-166, 2022.

能勢 博(のせ・ひろし)
医学博士、信州大学医学部特任教授

1952年生まれ。京都府立医科大学医学部医学科卒業。京都府立医科大学第一生理学教室助手、米国イェール大学医学部博士研究員、信州大学医学部付属加齢適応研究センター・スポーツ医学分野教授、NPO法人熟年体育大学リサーチセンター理事長、信州大学大学院医学系研究科スポーツ医科学講座教授などを経て、2018年より現職。主な著書として『もう山でバテない!「インターバル速歩」の威力』(山と渓谷社、2017年)、『ウォーキングの科学 10歳若返る、本当に効果的な歩き方』(講談社ブルーバックス、2019年)、『健康寿命が10歳延びる「筋トレ」ウォーキング決定版』(青春出版社、2020年)、『最高の歩き方-やせる! 若返る! 疲れにくくなる!』(世界文化社、2020年)などがある。