膣のゆるみや尿漏れ、不快なニオイや性交痛など、年齢とともに増える膣まわりの悩み。人に相談しづらく、病院に行くのをためらう人が多い。東邦大学医学部教授の永尾光一さんは、「出産後の尿漏れや、臓器が下垂する骨盤臓器脱は、珍しい病気ではない。若いうちからのケアで防ぐことができる」という——。
トイレでお尻に手をまわしている女性
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女性ホルモンが低下すると膣粘膜が萎縮

女性の体は、女性ホルモンによって守られ、コントロールされています。美しさと健康を保つために欠かせない女性ホルモンは、加齢によって分泌がゆるやかになり、更年期症状に代表されるようなさまざまな不調につながります。

実は膣周辺の悩みもその一つ。膣や膣前庭部と呼ばれる膣の入口は筋肉と粘膜でできています。女性ホルモンにはこれらをふっくらと柔らかく保つ働きがありますが、閉経に向かって分泌が低下すると、膣や周辺の潤いが減り、粘膜が委縮。

その結果、乾燥しやすくなり、若いころより性交時に痛みを感じる、陰部が乾いてイガイガ・ヒリヒリする、潤いがなくなりかゆみや違和感があるなどの“膣まわり”のトラブルが現れます。また、尿漏れや頻尿の悩みも増加。

ほとんどが女性ホルモンの影響を受けているため、30代よりも40代、40代よりも50代と、年齢を重ねるほど感じやすくなり、閉経が近づくと一気に進行するのが特徴です。

女性を悩ませるこのような諸症状に対して、近年「GSM(閉経関連泌尿生殖器症候群)」という病名が提唱され、新しい治療が進められています。