国民統合の象徴ではなくなってしまう、不幸な法律案

もし仮に、これが私の所属する組織での動きだったら、「冗談じゃない、さようなら」と退職の準備を進めるだろう。だが、女性皇族方にそういう選択ができるだろうか。経過措置として、今の女性皇族方は結婚と同時に皇族の身分を離れることもできると要綱にはある。無理して働いているのなら、そういう選択肢もあるかもしれない。が、河西さんは対談でこんなふうに語っている。

〈娘も含めた親子3人で活動するのが令和のスタイルであり、愛子内親王もその一部として歩んでいく覚悟を持っているのではないでしょうか〉

弘文さんは「皇位継承は人気投票ではない」と言っていた。が、愛子さまの「覚悟」が伝わってくるから、愛子さまは人気があるのだ。天皇にふさわしいと判断しているのだ。それなのに、わざわざ「女性は下ですよ」と決めようとしている。本当に胸が苦しくなる。

愛子内親王殿下(2022年12月23日撮影)
愛子内親王殿下(写真=外務省/CC-BY-4.0/Wikimedia Commons

この対談の最後、原さんはこの改正案が成立すれば、即位できない愛子内親王が悲劇のヒロインになる可能性があると指摘、こう語った。

〈そうなれば、国民の分断がさらに進み、天皇が国民統合の象徴ではなくなってしまう。ものすごく不幸な法律案と言えます〉

政府はあくまでも今国会での成立を目指しているという。まぁ、落ち着け。ちょっとじっくり話しよか。全国会議員に、リリーさんの言葉を伝えたい。声を限りに叫びたい。

矢部 万紀子(やべ・まきこ)
コラムニスト

1961年生まれ。83年、朝日新聞社に入社。宇都宮支局、学芸部を経て、週刊誌「アエラ」の創刊メンバーに。その後、経済部、「週刊朝日」などで記者をし、「週刊朝日」副編集長、「アエラ」編集長代理、書籍編集部長などをつとめる。「週刊朝日」時代に担当したコラムが松本人志著『遺書』『松本』となり、ミリオンセラーになる。2011年4月、いきいき株式会社(現「株式会社ハルメク」)に入社、同年6月から2017年7月まで、50代からの女性のための月刊生活情報誌「いきいき」(現「ハルメク」)編集長。著書に『笑顔の雅子さま 生きづらさを超えて』『美智子さまという奇跡』『朝ドラには働く女子の本音が詰まってる』がある。