③話し合いにいない当事者 “気持ちを考慮したか”
③関与者(直接作用を与える人)
関与者は、先ほどの参画者のように、話し合いには積極的に関わらないものの、その話し合いの前提に深く関わっている人をいいます。そのため、公の話し合いでは発言権を意識されることが意外とないのですが、じつは「決定権者」や「参画者」に強い作用を与えています。たとえば、
・会社の会議でパートタイムの待遇を話し合う場面→パートタイム労働者自身
・地域で学校の集団登校の廃止を話し合う場面→小学生自身や、小学生の子を持つ親
・施設ができる際に生じた反対運動→施設に隣接する住民や施設の想定利用者
・SNS上で議論される「奈良公園のシカ虐待問題」→奈良公園の管理者や外国人観光客
といった具合です。
不思議なもので「場」における話し合いがまったく収束しないときや、まったく話が進展しないとき、話し合いの当事者が関与者自身の気持ちをまったく考慮していないことが多々あります。
これは逆に言えば、関与者の「感情」や「価値観」をしっかり把握しておくことで、「場」を踏まえた調和を実現しやすくなります。つまり、関与者に関しては直接根回しするというよりは、関与者を前提とした「探りを入れる」ことの重要性を常に意識しておくことが重要です。
「誰も反対していないはずなのに、なぜか進まない」のような場面に出くわした場合、この「関与者の声」を汲めていないことが非常に多いといえます。だからこそ直接的にせよ、間接的にせよ、関与者の価値観や感情を早めに把握することが求められます。
④年長者など、相談を受けている人 “価値観・感情を把握したか”
〈④影響者(「場」の空気を左右する人)〉
影響者は、意思決定に直接関わらなくても、場の空気に大きく影響する人です。②の参画者のように、話し合いには積極的に関わらないけど、「場」や「決定権者」の意思決定に強い影響を与えるような人はけっこう多くいます。
たとえば「役職者ではないが決定権者が必ず相談する人」や「組織などの象徴であったり、風土づくりの中心人物」「周囲から一目置かれている年長者」「関係者の心理的な拠り所となっている人」などです。
影響者の存在は必ず押さえておく必要がありますが、どちらかというと直接根回しをするよりも、影響者の「価値観」や「感情」を決定権者や参画者から引き出すことを目標にするとうまくいくでしょう。
とはいえ、直接、影響者にアプローチできるのであれば、もちろん影響者に直接「根回し」すると大きな効果が得られます。
影響者の抵抗は、公式な反対には見えませんが、「場」全体を一気にひっくり返しかねない力があります。
京都でビジネスを進める場合、こうした影響者の扱いが非常に重要だとされています。理由は本書でさまざま触れてきたとおりですが、京都では「場」を非常に重要視しますし、影響者は、その「場」の空気に強い作用を与えることがあるからです。
