コンパクトなのに高機能を備えた家電
核家族が「標準」世帯だった時代は去り、今や最も多い世帯人数は1人暮らし。少子化も進んで2人暮らしも多い。そうしたライフスタイルの多様化に合わせ、最近になって少人数世帯向けに高機能だがコンパクトな家電が次々登場している。
2025年8月、少人数世帯向けのシンプル家電を一つのカテゴリーとして打ち出し始めたのがパナソニック。対象商品の電子レンジは、2025年9月の発売から2026年3月末の見通しで計画比約1.7倍、ななめドラム洗濯乾燥機が、2025年11月の発売から2026年1月までで計画比約1.3倍、と好調に推移しているという。
量販店では、シンプル家電を集めた展示をする店や、「都心部を中心にこうした家電をお求めのお客様が多い」といった声が届いている店がある。パナソニックのSNSにも「このサイズなら、狭いわが家にも置けそう」「以前から気になっていました」といったコメントがつく。手応えは大きいようだ。
なぜパナソニックは、今のタイミングで少人数世帯向けの高機能な家電を売り出したのだろうか。また、それらの家電には、どんな可能性があるのだろうか。家事家電に焦点を当てて掘り下げてみたい。
コンパクトな家電は狭い家にも置きやすいが、サイズが小さくなる分、最上位の機種に搭載する機能すべてを入れることは難しい。パナソニックは、少人数世帯のライフスタイルに合わせて機能を絞り込んでいる。
小さなドラム式洗濯乾燥機
ドラム式洗濯乾燥機(SDシリーズ)の最大の魅力は、タテ型洗濯機用の洗濯パンに納まるサイズにしたこと。「1人暮らしや2人暮らしでドラム式が欲しいという方は多いのですが、場所の制約が大きい。いざ納入、という段階で洗濯パンに入らないと判明する、という例も少なくないんです」とパナソニック商品横断企画部の岡橋藍担当部長は話す。
同社デザインセンター エキスパートリサーチャーの船引伸恵さんは、「デザイナー自身が自宅で納まりを検証したと聞いています。ドラム式洗濯乾燥機は前面に窓があります。製品としての美しさだけでなく、狭小住宅でも洗濯機の窓と壁に身体が挟まることなく快適に使えるかなど、顧客視点で細かいサイズ調整も行っています」と説明する。岡橋さんが「担当チームは、都心部の部屋の間取りも調べました」と補足する。
給排水が必要な洗濯機は、設置場所を選べない。タテ型洗濯機を想定した洗濯パンが設置された住宅では、一般的なドラム式洗濯乾燥機は大き過ぎて置くことができない。日本のメーカーが、ドラム式洗濯乾燥機を製造し始めて四半世紀。住宅は簡単にアップデートできないため、まだまだタテ型洗濯機用の洗濯パンがある家は多い。
それだけに、3人以上の家庭だが洗濯パンの制約からドラム式をあきらめてきた人たちにとっても、SDシリーズの登場は朗報と言える。パナソニックのドラム式洗濯乾燥機はこれまで、洗濯・脱水容量が12キロまたは11キロで乾燥容量が6キロの最上機種(LXシリーズ)だけだった。SDシリーズはそれぞれ10キロと5キロ。家族の人数が多くても、洗濯の頻度や回数を若干増やせば対応できそうだ。
しかも、価格は大手量販店でLXシリーズが約28万円のところ、SDシリーズは約19万円と9万円も安い。価格面でもハードルが高かったドラム式洗濯乾燥機に手が届く、という人はいるのではないだろうか。
一方、LXシリーズにはあるがSDシリーズにないのは、上部に配置し効率的に省エネ乾燥できる大風量のヒートポンプ。とはいえ、室温より約15度高い低温風を送るヒーターをトップに設置しているので、LXシリーズほどではないが省エネで乾燥時間も短め。シャツはシワになりにくくタオル類はふんわり仕上がる。