叩かれて傷つき、強くなった
【上野】多くの女性からすれば、アグネスさんはスーパーウーマンに見えるでしょうね。
【アグネス】ぜんぜんスーパーウーマンではないです。でも母親になって、強くなったとは思います。アグネス論争が大きかった。私を奮起させてくれたのは叩かれて傷ついたという経験でした。それがなかったら愚痴ばかり言っていたかもしれません。
【上野】最初から叩かれ強い人なんていませんからね。私もよく「打たれ強い」と言われますが、好き好んで「打たれ強く」なったわけではありません。
【アグネス】アグネス論争が起こった頃に、子どもをお風呂に入れながら泣いてしまったことがありました。子どもを受け取るために風呂場にやってきた夫に気づかれてしまい、「なにを泣いてるの?」と問い詰められたのですが、その時に夫が言ったんです。「泣いてもよくならない。もっと強くならなければ」って。
「自分が正しいと思うなら、人生で証明しなさい」とか忌憚のないことを言ってくれました。その時は重い責任だなと思いましたが、素直に彼の意見を聞き入れることができました。
【上野】強くなるべきだと。
【アグネス】そうですね。また、いろいろな人に助けてもらいました。私の取材時は、連載の担当者が子どもを見ていてくれたり、テレビ局のプロデューサーや小道具さんが、子どものための遊べるシートや洗濯済みの毛布を準備していてくれたり。楽屋で友人が子どもを見てくれたりもしました。
一つひとつは小さなことなんですけど、その小さな応援がつながって大きな力になってくれていたのを感じます。
1948年、富山県生まれ。認定NPO法人ウィメンズアクションネットワーク(WAN)理事長。女性学、ジェンダー研究のパイオニア。現在は高齢者の介護とケアの問題についても研究している。京都大学大学院博士課程修了後、平安女学院短期大学助教授、京都精華大学助教授、メキシコ大学院大学客員教授、コロンビア大学客員教授などを歴任。1994年、『近代家族の成立と終焉』(岩波書店)でサントリー学芸賞受賞。著書に、『家父長制と資本制』(岩波現代文庫)、『おひとりさまの老後』(文春文庫)、『女の子はどう生きるか』(岩波ジュニア新書)、『アンチ・アンチエイジングの思想』(みすず書房)など多数。
1955年、香港生まれ。17歳の時、『ひなげしの花』で日本で歌手デビューし、トップアイドルに。上智大学国際学部を経て、カナダのトロント大学(社会児童心理学専攻)に留学。1985年に結婚、1986年に長男を出産。1989年、米国スタンフォード大学教育学部博士課程に留学、1994年に博士号を取得。留学中の1989年に次男を出産し、1996年に三男を出産。芸能活動の他、日本ユニセフ協会大使、日本対がん協会「ほほえみ大使」など幅広く活躍。2018年、春の叙勲で旭日小綬章を受章。息子3人全員がスタンフォード大学に合格したことでも話題になる。著書に、『終わらない「アグネス論争」』(潮新書)、『スタンフォード大に三人の息子を合格させた5 0の教育法』(朝日新聞出版)、『70歳、ひなげしはなぜ枯れない』(ワニブックス)など多数。
