30代の金融資産額について、改めて平均、中央値、最頻値を見てみると、金融資産を有する人に絞ったデータでは、平均は600万円、中央値は405万円、最頻値は500~700万円未満(全体の13%が該当)となる。
20代では平均こそ365万円だが、中央値は200万円、最頻値は100万円未満と、かなりギャップがある。
ちなみに30代で金融資産を保有していない世帯は29%。金融資産がないということは、「いざというときに使えるお金がない」ということ。冠婚葬祭が重なって支出がかさむ、病気や怪我で入院するといったときには、一時的にキャッシングをして凌ぐということにもなりかねない。全体の3割近い人が該当する「最頻値」であっても、こればかりは「みんなそうだから大丈夫!」とは言いにくい。もしもに備えて、少なくとも生活費の3カ月分程度は貯蓄をキープしよう。
貯蓄割合を把握しておこう
資産額はこれまでの貯蓄の「結果」「成果」だが、今後を左右する要素として意識したいのが「年収(手取り)の何%を貯蓄に回しているか(貯蓄割合)」だ。いわば貯蓄するチカラを示すもので、この先、どの位資産を築けるかを知る手掛かりになる。
貯蓄のある世帯の数字を見ると、30代の平均は12%で、最頻値は10~15%未満(図参照)。20代の平均も30代と同じ12%。40代、50代では9%に減るが、これは教育費や住宅ローンなどで支出が増えているためと推測できる。つまり、結婚前、または教育費がかからないうちが、貯蓄しやすい時期であり、貯蓄を頑張るべき時期、といえる。
さて、あなたはこの先、どの程度の金融資産を築くことができるか。それを知るためにも、過去1年間でどの程度、貯蓄が増えたかを確認し、貯蓄割合を計算してみよう。
保有している金融商品は、全年代とも最も多いのが預貯金、次いで生命保険となっているが、株式や投資信託など、利殖性が期待できる商品と上手に付き合うことも考えてみたい。
いくらの資産を築けるか。それは、「貯蓄にいくら回せるか」と「どの位効率的に増やせるか」にかかっている。
1989年よりライターとして活動。資産形成、投資信託、住宅ローン、保険、経済学などが主な執筆テーマ。