コロナショックで世界の経済、金融、マーケットが変わりつつある今。世界的投資家のジム・ロジャーズ氏は、いま何に注目し、何に投資しようとしているのか。まさに今、日本人が投資を行う上でのアドバイスが語られた。

※本稿は『ジム・ロジャーズ大予測』(東洋経済新報社)の一部を再編集したものです。

ジム・ロジャーズ
撮影=澁谷 高晴

いま日本人は何に注目し、何に投資すべきか

・資金がある人は今こそ農業に投資すべき

2019年の安倍政権の消費増税で多くを売り払ったが、再び日本株には目を向けている。

日本の農地はかなり割安で、いまが底値に近いと思っている。買うことができるのなら、日本の農地を買いたい。

私は日本に限らず世界的に農業には成長余力があり、十分な投資チャンスがあると考えている。特に日本の農家はかなり高齢化していて、競争がない世界だ。戦略をもって若い担い手を集めることができれば、明るい未来が待っている。

農業の担い手として、移民を受け入れてもよいだろう。定年後の人たちに働いてもらうのもよいかもしれない。農産品のクオリティはいまでも世界レベルにあるので、いかに生産性を高め、グローバルな視野でマーケティングを強化していくかがポイントになる。

日本にいるとなかなか気が付かないかもしれないが、日本の農地は、長い間、かなり割安な状態で放置されている。資金がある人はいまこそ農業に投資すべきだ。

・海外投資が不可欠になる

これから日本は確実に貧しくなっていく。財政赤字が膨らんでいく一方で、日銀が金融緩和でお金を刷り続けている以上、将来、円の価値は確実に下がるからだ。

円が今の価値を保っているうちに、早急に海外に資産を移すことを勧めたい。

インフレにも警戒が必要だ。日本円で保有する資産と年金をあてにしてる人が多いだろうが、そういう人ほど痛手が大きくなる。額面通りの金額を受給できたとしても、円安とインフレで実質的な価値は大きく目減りしてしまうからだ。財政破綻した旧ソ連の年金が、猛烈なインフレでその価値をほとんど失ったことを知るべきだ。

80年代、90年代には、普通の国民が海外に投資するのは、ややハードルが高かったかもしれない。しかし、いまでは普通に海外の口座がつくれるし、面倒くさいことが嫌いな人は、海外の株や債券のETFに投資すれば良い。