投資で成功する4つの基本法則

投資で成功する法則① まずは貯蓄をして、資産を作る

誰もが最初から資産を持っているわけではない。まずは貯蓄をして、資産を築くことだ。特に若い人はそう多くの資産を持ってないだろう。だからこそ、まずは、仕事で成功して資産をつくることだ。

そして、誰もが一夜にして億万長者になりたいと思うだろうが、そう簡単にはいかない。次のアドバイスとしては、辛抱強く投資の機会を待つことだ。成功する投資家の条件は、大体の時間何もせずに慎重に待つことができる人だ。チャンスが来たと感じたとき、思いっきりよく投資する。そして、再び待つのである。

投資で成功する法則② ある分野のエキスパートになるまでは投資をしない

次のアドバイスとしては、自分が決めた分野については徹底的に研究し、その分野のエキスパートになるまでは投資をしないことだ。多くの人がテレビやインターネットなどから得た情報を鵜呑みにして、「アップルは割安だ」とか「3万ドルまでは上がる」などと言って投資を始めてしまうが、お金儲けはそんなに簡単なものではない。

対象は何でも構わない。ファッション、車、スポーツ、料理、何でもいい。もし、あなたの興味がファッションにあるとしたら、本やインターネットでファッションに関する情報を徹底的に調べ上げることだ。そして、一時的ではなく、それを何年間も継続させることだ。それができれば、投資家の視点、投資家の発想が見えてくる。

そうなると、その知識を身内や友達に自慢したくなるが、はじめは誰にも言わないことだ。黙って、その分野で成功できそうなビジネスや企業について調査する。これも一時的にではなく、継続して調べることが大切だ。そうすれば、ロンドンの金融街やウォール街のアナリストよりも先に、成功するビジネスや企業を見つけることができるだろう。

また、誰かに勧められたから買うのではなく、投資は自分で調べて行うべきだ。私は常に自分ひとりでやってきた。これからもひとりでやっていくだろう。これまでの経験上、他人の言うことに耳を傾けると損をするとわかっているからだ。

投資で成功する法則③ 格安状態のものに目を向ける

「絶対に勝てる」という方法など存在しないが、投資はそれほど難しいものではない。基本は「安く買って、高く売ること」だ。

そう言うと、簡単なことだと思われるだろうが、これができていない人が多い。ほとんどの人は、ブル相場ばかりに目を向け、ベア相場は気にかけようとしない。心当たりのある人は多いのではないか。特に日本人は、ブル相場でだいぶ上昇したあとで、自分も乗り遅れてはいけないとばかりにマーケットに入ってくる。それではだめだ。

私はその逆で、常にベア相場を気にかけていて、底値を探している。人々が熱狂しているときにはあえて静観し、誰も気にかけていないような割安状態にあるものを探すようにしている。

投資で成功する法則④ 株を売ったあとは何もしない

もし、あなたが人生の中で20回しか投資ができないと言われたら、投資について慎重になり、あちこち軽率に投資することはなくなるだろう。自分で絶対に正しいと思うまで徹底的に調べ上げ、それから慎重に投資するに違いない。成功する投資とは、まさしくそういうものなのだ。とことん自分で調べてから、慎重に買う、これに尽きると思っている。

もう一つ大事なアドバイスがある。株を売った後は何もしないことだ。いったん投資を行うと、またすぐに何か行動を起こしたくなるのが人間というものだ。とりわけ、大きく儲かって自信過剰になっているときほど注意したい。次のトレードに乗り移るのではなく、同じトレードを貫けばよいのだ。慎重に待ち、また勉強を始めて、自分で良い機会が来たと思ったら、再度慎重に投資すればよい。しかし、大半の人は待てずに焦ってしまうから失敗する。どうしてもトレードしたくなったときには、ビーチに行ってゆっくりビールでも飲んでいればよい。

実は「待てる」ということも、投資家として成功するために大切な資質の一つと言える。投資家に必要なのは、ほとんどの場合、何もしないことなのだ。私の経験上、利益を出した直後に、次の良い投資機会が存在することはない。なので、落ち着いて待つことだ。くり返しになるが、人生でたった20回の投資機会しかないと考えることだ。そうすれば、急がずに、焦らず、次の投資機会を待つことができるだろう。

撮影=澁谷 高晴

ジム・ロジャーズ(Jim Rogers)
投資家

ロジャーズホールディングス会長。1942年、米国生まれ。イェール大学で歴史学、オックスフォード大学で哲学を修めた後、ウォール街で働く。73年にクォンタム・ファンドを設立し、ヘッジファンドという手法にて莫大な資金を運用して財を成した。ウォーレン・バフェット、ジョージ・ソロスと並び世界三大投資家と称される。『大転換の時代』(プレジデント社)、『世界大異変』(東洋経済新報社)など著書多数。