「褒メガネ」を曇らせる3つの深層心理

この「褒メガネ」は、世界を明るくして、相手のモチベーションを高める大切な道具となります。

しかし、ふつうのメガネと同じで、曇って視界が悪くなることがあります。曇りの原因となるのが、「先入観」「比較」「完璧主義」です。

①先入観

たとえば、「彼は粘り強さがないから」「彼女には大きな仕事は向かないから」といった決めつけは、今を正しく見て褒める目を曇らせます。過去の印象や噂にとらわれず、「その人の今」を素直な目で見ることが大切です。

②比較

「同期の○○さんと比べてまだまだ」「同じ年の他の子はもっとうまくできてるのに」……このように他者と比較してしまうのも、曇りの原因となります。さらに、マネージャーがよく陥るのが、自分(の若い頃)と比べてしまい、相手を認めることができなくなるパターンです。その人なりの成長に目を向けるようにしましょう(本書の10節で詳しく解説します)。

③完璧主義

「一つのミスも許せない」「常に期待以上でないといけない」と完璧を求めるのも、わずかな進歩を見逃す原因になります。今100点じゃなくても、100点に近づけるために褒める。この考えを持つことが大切です。

メガネは、曇ったままでは役に立ちません。自分の視点が曇っていないか、ときどきレンズをふいてみましょう。そうすれば、もっと多くの「いいね!」が、あなたの周りに見えてくるはずです。

ポイント➡「褒メガネ」をかけて、見逃していた「あたりまえ」の中に承認ポイントを見つけよう。

褒め上手が褒める前にしていること

褒め上手な人には、実は「褒める前にしていること」があるのです。

山本渉『できるリーダーはどこを「ほめる」のか? チームが自然と動き出す「戦略的ほめ方」』(朝日新聞出版)
山本渉『できるリーダーはどこを「ほめる」のか? チームが自然と動き出す「戦略的ほめ方」』(朝日新聞出版)

「褒メガネ」が実際に売っていたら、きっと多くの人が欲しがるでしょう。ですが、残念ながら物理的には存在しません。では、どうすればこのメガネをかけられるようになるか。

その答えが「関心」と「観察」です。

褒めるという行為は、単に「すごい」「えらい」と言えば済むものではありません。むしろ、そうした言葉だけでは、かえって表面的に感じられてしまうこともあります。

反対に、「この人、私のことをちゃんと見てくれてる」と思えるような具体的な褒め言葉は、相手の心にしっかり届きます。その違いを生み出しているのが「関心」と「観察」なのです。