メニエール病の研究始動へ

メニエール病は、1799年生まれのフランス人医師Ménièreメニエールが発表した、ぐるぐるまわるような「めまい」が起こる病気です。

年齢に関係なく突然発症し、耳が聞こえづらくなって一度めまいが起きると数十分から数時間おさまりません。そしてこのめまい発作を何度もくり返し、やがて聴力が低下する難聴が進行し、ひどいと両耳の聴力を失ってしまうのです。

メニエールは、めまいが「耳の病気」で起こることを明らかにしましたが、なぜこのような病気が起きるのか、医学が発達した現代でも謎だらけでした。ですから大先生は研究するなら宇宙酔いではなく、「メニエール病に」と言ったのです。

石井先生は考えました。

(メニエール病の発症にはストレスが関わり、自律神経のバランスが乱れることが関係しているといわれる。宇宙酔いも、自律神経の異常反応だから似ている仕組みだ。これまで取り組んできた自律神経の研究を進めていけば、メニエール病の本質にたどりつけるかもしれない)

ここから、石井先生のメニエール病の研究が始まりました。

フランスの医師プロスペル・メニエール(1799~1862)
フランスの医師プロスペル・メニエール(1799~1862)(写真=パリ・シテ大学 サンテ大学図書館/Licence Ouverte/PermissionTicket/Wikimedia Commons

90分間のトレーニング

しかしそんな矢先、石井先生の両うでに異変が起きてしまったのです。

いつまで経っても両うでが動かない石井先生は、あの先輩からしょうかいされた病院に緊急入院することになりました。

それでもなかなか治りません。そんな時、リハビリ担当の先生から「ヨガ」をすすめられました。みなさんはヨガを目にしたことがあるでしょうか。

約5000年前にインドで生まれたといわれ、身体的なポーズをとりながら深い呼吸を行い、心身のリラックスをめざすものです。運動とも、瞑想ともいえるでしょう。

(ヨガなんて冗談じゃない。あんなポーズをとって、何が変わるもんか)

石井先生は最初は首を横に振りました。

けれども他にできる治療もありません。リハビリの先生が何度もすすめるので、石井先生はしぶしぶヨガのトレーニングを受けることにしました。うでにギプスをしたまま90分間、インストラクターさんの動きを真似しながらポーズをとります。

(こんなことをして何になるんだろう……)

そう思いながら、90分間のトレーニングを何回か受けました。