何度言っても片づけられない子に、どう対応したらいいか。精神科医さわさんは「ASD(自閉スペクトラム症)やADHD(注意欠陥多動性障害)の特性を持つ子の中には、整理整頓が苦手な子がいる。『ちゃんと片づけなさい』と口で言うだけでなく、親が一緒にやってみせることが効果的だ」という――。
※本稿は、精神科医さわ『児童精神科医が子どもに関わるすべての人に伝えたい「発達ユニークな子」が思っていること』(日本実業出版社)の一部を再編集したものです。
走り回る子を感情的に怒るのは逆効果
多動性や衝動性の特性が強く、どこでも走り回る子がいます。
クリニックでもドアを開けて入ってくるやいなや、私のほうに駆け寄ってきそうになったり、診察室の机にイスから飛び乗ってきたりする子もいます。
元気のよい活発な子ととらえる方もいるかもしれませんが、「人の言うことが聞けない」「まわりの人に迷惑をかける」と困り果てている親御さんも多いです。たしかに、やみくもに走り回ったり行動したりすると、その子がケガをしてしまうなど危険な目にあう可能性もありますし、人を傷つけてしまうかもしれません。なにかを壊してしまうこともあります。
そのため、ケガをしそうなど危険な場合は、その場ですぐに伝えましょう。ただし、感情的に怒るのではなく、「なぜ、それをしてはいけないのか」を落ち着いたタイミングで、あとから具体的に説明します。
子どもを怒ったとしても、その行動がすぐに変わるわけではありません。
それどころか、怒ることを繰り返すと、子どもがその場しのぎの対応(とりあえず親の怒りを抑えるために謝るなど)を覚えてしまうことがあります。
親が感情的に怒ると、子どもはその場では「わかった」と答え、いったんは行動を止めることがあっても、同じことを繰り返すケースも多いです。


