「片づけなさい」だけでなく親も一緒にやる

「片づけなさい」と口で言うだけではなく、親が一緒に片づけをするのも効果的です。

言葉だけではイメージしにくいことでも、「こうやって片づけるんだよ」と目の前でお手本を見ると、子どもは具体的な行動がイメージしやすくなります。まさに、視覚支援なのです。

それも、一度やって見せて終わりではなく、何度でも繰り返し見せることが大事です。一度で完ぺきにできることを期待するのではなく、何度でも根気よく取り組んでいきます。

「お母さんがこっちの半分をやるから、そっちの半分やってみない?」と交渉してみるのもひとつの方法です。

そして実際に片づける様子を見せながら、「ほら、上手にできたね」とか「わあ、そっちの半分はとってもきれいになったね」などと声をかけることで、子どもも「自分にもできる」という具体的なイメージを持てるようになります。

親御さんが「一緒にやってみようか」とやさしく声をかけてくれるだけで、子どももきっと安心してやってみようと思うはずです。

そして、少しでも片づけができたときには、「片づけできたね。よくがんばったね」とほめてくださいね。

「できた」経験が「できる」自信を育む

なかには、「親がいつまでも手を貸していたら、自立できないのでは?」と心配する親御さんもいます。

精神科医さわ『児童精神科医が子どもに関わるすべての人に伝えたい「発達ユニークな子」が思っていること』(日本実業出版社)
精神科医さわ『児童精神科医が子どもに関わるすべての人に伝えたい「発達ユニークな子」が思っていること』(日本実業出版社)

でも、最初のうちはとくにていねいにやり方を教えて、子どもに「できた」という体験を積み重ねていくことが大切です。そうすることで、少しずつ親の手を離れて自分でできる力と自信が育まれていくのです。

そのうえで、その子の「できること」と「できないこと」を見極め、「できないこと」がわかったら、「手伝って」「助けて」と周囲に言える力が育まれていきます。

いくつになっても、生きていくうえで、人に頼ることは必要なことです。“手を貸さない”ことをめざすのではなく、“求められたとき手を貸せる関係性をつくる”ことも大事です。

だれにでも得意なことと不得意なことがありますから、家庭でもお互いの苦手な部分をカバーし合うというコミュニケーションがあってもいい、と私は考えています。

家庭というのは社会の縮図のような場所です。

家庭で助け合うことを経験しながら育った子は、社会でも「困ったときはお互いに助け合えばいい」と自然に感じられるようになっていくのです。