「運動会がつらい」とわが子に言われたら、どうすればいいか。精神科医さわさんは「ASD(自閉スペクトラム症)の特性を持つ子にとって、普段と生活パターンが変わる学校行事は大きな負担になる。あまりにつらいなら、休ませるのも選択肢のひとつだ」という――。

※本稿は、精神科医さわ『児童精神科医が子どもに関わるすべての人に伝えたい「発達ユニークな子」が思っていること』(日本実業出版社)の一部を再編集したものです。

小学校の運動会、順位の旗
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おもちゃの位置がズレただけでパニックになる理由

ASDの特性を持つ子に、よく見られる傾向として「特定のものごとに強くとらわれる」「一度決めたルールや行動にこだわる」「いつもとちがうことに不安が強い」などがあります。

こだわりの対象となるものは、その子ごとに異なり、たとえば、おもちゃをきれいに並べることにこだわり、それが少しでもズレると大騒ぎになってしまう子もいます。ASDの特性を持つ子は、変化や新しいものごとに対して不安や恐怖を感じることも多く、いつもとちがうことが起こると、癇癪やパニック状態になるケースもあります。

子どもにかぎらず、クリニックに来られる大人の患者さんのなかにも、仕事場で物の配置がいつもとちがうだけで気になって作業が進まない人や、文字の大きさなどにこだわりが強すぎて課題の提出期限をすぎてしまう人、いつもの通勤の経路とちがう道を通るだけで体調が悪くなってしまう人もいます。

その人なりのこだわりがあって、それが少しでも崩れるのが受け入れにくいのですね。

とくに、人生経験のまだ少ない子どもにとっては、いつもとちがうことは大きな不安や緊張感を引き起こすことがあります。