リズムが崩れる学校行事は大きなストレス
毎日の学校生活に加えて、運動会や音楽会、遠足など、通常の生活パターンにはない行事も、発達ユニークな子にとっては大きな不安や恐怖を感じさせることがあります。
運動会はいつもの授業とはまったくちがいますし、大音量の音楽、子どもたちや保護者たちの歓声、徒競走のピストルの音などにびっくりして、パニックになってしまう子もいます。
また、運動会の前の数週間は、練習のために時間割が変則的になることがありますが、それによって心身ともに疲弊してしまう子も少なくありません。
いつもの時間割に代わって、変則的にダンスや競技の練習に費やされるスケジュールが組まれることがあり、こうした変化がASDの子どもたちにとっては非常に大きなストレスになるのです。
その結果、運動会の練習がある日はお腹が痛くなってしまうことや、練習期間中に学校へ行けなくなってしまうこともあります。
一般的に楽しいイベントと思われそうな行事も、ASDの子どもたちにとっては日常生活のリズムが崩れることで安心感を失い、不安が大きく増幅するきっかけとなります。
こうした行事を不安に思う子どもを抱え、その対応について悩んでいる親御さんも少なくありません。
私も診察室で相談を受けることがあり、「その子にとってあまりにもストレスになっているなら、無理をしないほうがいいですよ」とお話ししています。
学校と相談して、当日は保健室や別室から見学する、耳栓をつけて練習に参加する、練習の回数を調整してもらうなど、本人が安心して挑戦できる環境を一緒につくっていくことも大切です。
そんなにつらいなら休ませたっていい
「それほどつらいと言うなら、休ませてあげもいいんじゃないですか」と私が言うこともあります。
すると、「えっ、そんなことしていいんですか!」と驚かれる親御さんも多いのですが、やはりお子さんが感じている不安をまずは受け入れてあげてください。
「休むこと」は逃げではなく、「整えること」。その子が本来の力を発揮できるタイミングを待つというのも大事な準備期間だと私は思っています。
少なくとも別の選択肢もあるということを伝えると、それだけで子どもの不安がやわらぎ、参加できるということもあります。
まずは、子どもの負担を軽減する方法を考えて、その子ができそうなことから少しずつ参加していきましょう。
最後に、親が悩んだり不安になったり、「どう対応したらいいの?」と困惑してしまうのも当然だと思っています。
私たちは子育てを習わないし、ましてや特性のある子どもの子育てはなおさらかもしれません。でも、目の前の子どもを信じて、ゆっくり親も親として成長していけばそれでいい、と私は考えています。
なんだか偉そうに書いているように思われるかもしれませんが、私自身、最初からおだやかに対応ができていたわけではありません。発達ユニークな娘たちのおかげで、しだいにそんなふうに思えるようになってきたのです。


