※本稿は、成田奈緒子、上岡勇二『その「習慣」が子どもの才能をダメにする』(SB新書)の一部を再編集したものです。
小さいうちから英語に触れさせるのはNG
×小さいうちから英語に触れさせてバイリンガルを目指す
○まずは母語で感情を表現できるようにする
【エピソード】
アンは生まれたときから、英語の歌や映像が流れる家で育っています。アンの母親が読んでくれるのは英語の絵本。母親はかつてアメリカに留学していたこともあり英語が得意です。海外で働くことに憧れを持っており、アンのことをバイリンガルに育てたいのです。
アンは自然と英語の歌を歌い、きれいな発音で英単語を言えるようになりました。しかし、幼稚園で気持ちを聞かれるとウッと詰まってしまいます。混乱してものにあたったり、泣きわめいたりすることもしょっちゅうです。
昨今、「グローバル社会で活躍できるように」と子どもに早くから英語を学ばせようとする親御さんは増えています。「脳がやわらかいうちに英語脳を作りましょう」「小学校で英語学習が必修化したので、自信をつけさせるためにも幼児のうちから英語に触れさせましょう」といった宣伝文句を信じて、まだ日本語もおぼつかない幼児のうちから英語教育をする人もいます。
英才教育が子どもの脳にダメージを与えるワケ
確かに、幼児期の脳は柔軟で新しい言語に抵抗がありません。英語に触れるほど、ぐんぐん吸収していきます。言葉を聞き取ってマネをして喋るのも、すぐに上手になっていくでしょう。3歳くらいの子がトンボを指さし、ネイティブの発音で「Dragonfly!」などと言っていたら「すごい」「かわいい」と思うかもしれません。
しかし、脳育ての観点から言えば、バイリンガル教育は非常に難しいと言えます。一歩間違えれば、子どもの脳に悪影響を及ぼすこともあるので注意が必要です。
脳の前頭葉に、「ブローカ野」という言語処理をつかさどる部分があります。幼い頃から第2言語に触れてうまくバイリンガルに育った人の脳は、二つの言語をつかさどるブローカ野の領域がより近接していることがわかっています。
近接しているということは、二つの言語を極めて自然に行き来して使えるということです。側頭葉にある言語理解をつかさどる「ウェルニッケ野」に関しても同じ現象が見られることが報告されています(Nature 388, 171p, 1997)。



