※本稿は、成田奈緒子、上岡勇二『その「習慣」が子どもの才能をダメにする』(SB新書)の一部を再編集したものです。
子どもが「ありがとう」となかなか言えない
×「(人からものをもらったわが子に対して)ほら、ありがとうって言いなさい」
○「(子どもの代わりに)ありがとうございます」
【エピソード】
母親の仕事の打ち合わせについてきたソウタ。応接室で打ち合わせの相手がジュースを出してくれました。ソウタがもじもじしていると「ほら、こういうとき何て言うの?」と母親が腕をつつきました。
「ありがとうは? 何かをしてもらったら『ありがとう』でしょ?」「……ありがとう」「そんな小さな声じゃ聞こえないでしょ?」その後もソウタは「ありがとう」をなかなか言えるようにならず、何かもらうときには逃げ出すようになってしまいました。
「こんなとき、何て言うの?」
「ありがとうって言いなさい」
「ごめんなさいって言いなさい」
そんなふうに、幼い子どもに言っている親御さんをよく見かけます。「ありがとう」「ごめんなさい」は良い人間関係を作るうえで大切な言葉ですから、「早く言わせたい」という気持ちはよくわかります。周りからも「良い子」と言われますし、親の「かわいい」基準も満たすので、安心できますよね。
その教えは親のエゴかもしれない
でも、「言いなさい」と迫って強制的に言わせることが、子どもにとって良いことなのかというと疑問です。子どもが本当はどう思っているのかを見逃してしまいますし、子どもも「自分の気持ちをわかってくれていない」と不満に感じるでしょう。
脳育ての観点から言えば、良いインプットをすることのほうが大事です。親が見本を見せるのです。子どもの代わりに「ありがとうございます~!」と言うだけ。子どもはそれを見て、どういうシチュエーションでどんなトーンで言えばいいのかを学びます。前頭葉が働き始めるようになれば、自発的に「ありがとう」も「ごめんなさい」も言えるようになります。
大人が良かれと思ってしたことが、子どもにとっては嬉しくない場合だってあります。成田家の娘は小さい頃、周りの人からジュースをいただいたときに嬉しそうな顔をしませんでした。その表情や様子を見て、「あ、ジュースが好きじゃないんだな」と気づいたのです。



