周囲をよく見て、よく考えている子
私が代表を務め、脳科学の立場から子どもの発達支援を行っている「子育て科学アクシス」にやって来る子どもたちを見ていると、「よく話す子」と同じくらい、「ほとんど話さない子」がいます。
椅子にちょこんと座り、周囲を静かに観察し、私の質問にも短くうなずくだけ。といっても、話を理解していないわけではありません。ただ、とても静かなのです。
親御さんは少し困ったような表情で言います。「この子、とにかく無口なんです……」
私は、その言葉を聞くたびに、「無口であること」が、そんなに悪いことなのだろうか、と考えます。
私たちはいつの間にか、「話せる子は良い子」「自己主張できる子はたくましい子」という価値観をもってしまっているのではないでしょうか。だから、静かで、あまり自分の意見を言わない子どもを見ると、「このままで大丈夫なのだろうか」「何か足りないのではないか」と不安になってしまうのです。
でも、脳の発達という視点から見ると、「よく育っているから、よく話す」ということではないのです。
無口な子どもたちも、話す力がないわけではありません。むしろ、周囲をよく見て、よく考えている子が多いと私は感じています。
「今、話をしていいのか」「こんなことを言ったらどう思われるか」と、頭の中で何度も考えたうえで慎重に言葉を選び、口を開きます。だから、言葉が外に出てくるまでに時間がかかるし、少しおどおどと話しているように見えることもあります。
「話せない」のではなく、「話すことがあんまり好きではない」というだけなのです。
ところが、大人はつい、「ちゃんと自分の意見を言わないと」「もっとはっきり話しなさい」と言ってしまいがちです。自分の意見を堂々と話す子どもを「理想」としてしまうからです。
親としては励ましているつもりなのでしょう。でも、子どもは、「話さない自分」を責められているように感じてしまいます。話すことがあまり好きではないのに、無理やり「話せ!」と言われているような気分になってしまいます。話すことに対するネガティブな感情が、さらに高まってしまいそうです。

