福田 秀人(ふくだ・ひでと)
ランチェスター戦略学会副会長。元立教大教授。1976年、慶応大大学院商学研究科博士課程修了。会社役員やコンサルタントとしてリーダー教育や組織改革、事業戦略に従事。『ランチェスター思考:競争戦略の基礎』『プロフェッショナルリーダーの教科書』(共著)など著書多数。

著者・福田秀人氏は元立教大学大学院教授で現在は同大ESD研究センター研究フェローなどを務める研究者であり、企業や自衛隊幹部にリーダー論や危機管理を教える教育者・実務家でもある。最近は、実践的な経営戦略として知られるランチェスター戦略の大家として、数々の「ランチェスター本」を著しヒットに導いている。

さまざまな顔を持つ著者が、今度はサラリーマンの実践的処世術を明らかにした。

「いまは企業に成果主義がはびこり、リストラの危険性も高まっています。ですから、いかに『辞めさせたくない人材』になるかを書いてみたいと思いました。ごらんのとおり、読みやすい体裁になっています。ところがいざ取り掛かってみたら、この10年に書いた本でいちばん手こずりましたね(笑)」

目次を開くと「部下に迎合するな!」「寄生部下を駆除せよ!」「組織に情を期待するな!」と実に刺激的だ。この一冊に、挑発的な警句が書名のとおり90も並ぶ。

執筆に「手こずった」のは、一見乱暴に見える警句の一つひとつに「それぞれ経済学や社会学の理論的裏づけをほどこしたから」。たとえば著者は、情報に通じている部下が上司を「だまそうとする」ことによくよく注意しなければならないと警告するが、その根拠は、組織経済学に基づく「プリンシパル・エージェンシー理論」だ。

想定する読者は、自営業や経営者ではなく「サラリーマン」。

「大企業の大卒のゼネラリストで、部下を持っている人。ゆえに、論理思考や表現力に優れ、人間関係を構築できる能力も備えていると想定しました。基本を教えれば応用できる人たちです。部下たちを含めて社会とはどういうルールで動いているかを学び、それをもとに判断を下していってほしいと思います」

執筆にあたって「賢いサラリーマンとは、サラリーマンとして“やってはいけないこと”と“やること”をわきまえた人間である」と定義づけた。

「たとえば、鹿を馬と言う重臣に『あれは鹿です』と言った部下は全て殺された。『上司に逆らう』という『やってはいけないこと』をやったからである」と福田氏は書く。

常識破りの指摘も少なくない。だが、それだけに著者の問いかけは新鮮だ。サラリーマンという権限も責任も限定された立場において、懸命に働くとはどういうことか。そのことを深く考え直すきっかけになるだろう。