基礎が難しく退屈なのは、何のためにこういうことをやっているのかがよく分からないからです。先に進んでみると、基礎の意味がよく分かります。微分方程式は物理の問題に応用すれば、その意味がよく分かります。ただし、2次関数も知らずに微分法は使えません。だから、「真ん中から」ということになります。
理由はよく分からなくとも、それは一時棚上げして、とにかく使い方を丸暗記し、そして先に進めばよいのです。どうしても分からなかったら、無理しなくてもよい。やがて分かります。
では、「棚上げ」をしてよい基準は何でしょうか? やや乱暴な言い方ですが、「8割分かったら先に進む」ということでよいと思います。10割分からなくてもよいのです。
文法を学ぶより文章をたくさん読む
英語の勉強も、単語を覚えたり、文法を覚えたりするだけでは、少しも面白くありません。それよりは、シェイクスピアの作品を覚えるほうがずっとよいのです。
国語で漢字の書き方だけ勉強していても面白くありません。パソコンを使って文章を書けるようになったので、漢字は、書けなくとも読めればよい時代になりました。最近では、音声認識機能が発達して、話すだけで文章が書けるようになりました。漢字を書く試験は、やめにしてほしいものです。
それより、質の高い文章をたくさん読むほうがよい。そうすれば自然に良い文章の書き方が身についてきます。漢文の素読は、意味も分からずに読んで、覚えています。それでよいのです。
「分からなくても、先に進め」
以上の方法論をまとめると、「分からなくても、先に進め」ということです。基礎を完全に習得してから先に進むのではなく、とにかく進む。
これは、もっと実践的な場面でも成り立ちます。
例えば、「スマートフォンの使い方の基礎」などというのを習熟しようとしても、少しも面白くありません。それよりは、スマートフォンを実際に使って何かをやってみるほうがずっとよい。そうすれば、スマートフォンに興味が湧いてくるでしょう。