静岡から生まれる「交通事故のない街」
トヨタは2021年の初めから静岡県裾野市で、あらゆるモノやサービスがつながるスマートシティの実証都市「コネクティッド・シティ」を着工する。
裾野市にある東富士工場を閉鎖し、跡地で「Woven City(ウーブン・シティ網の目のように道が織り込まれ合う街)」と名付けた町の開発をする。
東富士工場はわたしも見に行ったけれど、東名高速のインターチェンジに近く、富士山が美しく見える場所だ。そこで人々が生活をする。
「生活のなかに自動運転、MaaS(Mobility as a Service複数の交通サービスを組み合わせて最適に利用する仕組み)、パーソナルモビリティ、ロボット、スマートホーム技術、AI(人工知能)技術などが使われる。そうして実際の生活のなかでどれほど役に立つかを検証し、新たな価値やビジネスモデルを生み出す。
初期はトヨタの従業員やプロジェクトの関係者たち2000名程度の住民が暮らすことを想定している」
こんなことが同社ホームページに書いてあるけれど、本当に読み取らなければいけないのはここまでの情報ではなく、次に書いてある箇所だ。
1)スピードが速い車両専用の道
2)歩行者とスピードが遅いパーソナルモビリティが共存する道
3)歩行者専用の道
それらが網の目のようになった街を作る
1本の道を2方向に走る限り、正面衝突は起きる
一般の町とウーブン・シティのもっとも違うところは道路だ。
現在、地球上にある道路は徒歩と馬車の時代に整備され、自動車が出てきたことで拡幅されたものが基本だ。そして、現在のような交通規則ができたのは自動車が普及してからのことだ。
交通規則の根本的な原則は対面交通である。右側通行、左側通行を問わず、世界中の都市の道路はひとつの道路を2方向に走る自動車のために作られている。そして、対面交通である限り、正面衝突は起こる。
たとえ自動運転が可能になったとしても事故を完全になくすことはできない。どんな機械もシステムも故障や不具合は必ず起こるからだ。
むろん自動運転の前提は、ぶつからない車だ。たとえば、スバル車が装備している「アイサイト」はたいていの障害物を検知してちゃんと止まる。アイサイトのようなシステムをグレードアップして、障害物に対してぶつからない車を作ることは可能だ。